水堀の前から望むシャンボール城
フランソワ1世が狩猟のために築いたロワール流域最大の城館
フランス語名
Château de Chambord
所在地
フランスロワール=エ=シェール県シャンボール
訪城日
2011/06/16
歴史等
1515年に、弱冠22歳で即位したフランソワ1世は、即位直後にイタリアのミラノに遠征し、先代のルイ12世が守れなかった支配を獲得する。マリニャーノの戦いで勝利を飾り、イタリアでルネッサンス様式建築に触れた若き王は、フランスに帰国後の1519年、大きな野心と愛する狩猟のために、シャンボール城の建築に着手した。もとは、当時この地を統治していたブロワ伯の城館を大々的に増改築をしたのである。
シャンボールの設計に際しては、中世の要塞としての外観(中央の主塔を囲む4隅の大きな塔、2つの翼棟、全てを囲む城郭)を残しながら、従来のフランス様式にイタリアルネッサンスの革新的な建築様式(ロッジア、テラス、垂直のつけ柱、正面壁にリズムを与える水平の刳形など)を取り入れた斬新な姿にまとめた。
もともと狩猟用の離宮として考えられていたシャンボールであるが、幅156m、高さ56m、77の階段、282の暖炉、426の部屋など、城館としては、いずれも桁外れの規模であり、勿論、ロワール流域で最大の城である。城の建設には石灰質の岩から切り出した軟らかく脆い石灰岩を絶妙な技巧で用いている。
フランソワ1世が、32年間の統治生活でシャンボールで過ごした日数は僅か72日で、1547年に死去するまでに出来上がっていたのは主塔と王室の塔のみで、彼は城の完成を見ることなくこの世を去った。
その後永い間、フランソワ1世から城を受け継いだ城主たちは、多少の増改築に着手をしたものの、ほとんど顧みられることはなく、城が実際に完成したのはルイ14世統治時代の1685年である。
『「パンフレット」、「フランスロワール古城めぐり・宮本唯志著(講談社刊)」他参照』
現況・登城記・感想等
シャンボール城は、70以上あるというロワール流域の城館の中でも最大の規模を誇る。
巨大で豪華な城館もさることながら、私は何よりその広大な城域に驚いた。その城域面積は5440haという途轍もない広さであり、これはパリ市の大きさに匹敵するのだというw(*゚o゚*)w。
そして、その周囲をりまく塀の総延長は32kmで、城館から最も近い城門でも2.5kmあるという。私たちのツアーも、バスが城門を入ったというので、間もなく着くのかと思い降りる準備をしたら、城館近くの駐車場まで随分かかった( ̄ー ̄;。
何しろ、城域内で狩猟をしたのである。今でも、ヨーロッパ最大の森林公園になっており、鹿やイノシシなど様々な野生動物が悠々と闊歩?しているという。尤も、現在はフランス国の狩猟鳥獣保護区となっているそうだが(笑)。
(2011/06/16登城して)
ギャラリー
シャンボール城絵図(現地配布パンフレットより)
シャンボール城は、4つの巨大な塔をもつ中央のドンジョン(主塔)と王の居室部分をおさめた翼棟、礼拝室をおさめた翼、そして城壁で構成されている。水堀は、当初はロワール河の分水路をつくって川の水を城館の足下まで引こうとしたが、工事規模のあまりの大きさに、コソン川の流れを迂回させるにとどまったという。
広大な庭からシャンボール城正面を
一般的に城の庭は裏庭がメインの庭であることが多いが、この城については、どうやらこちら側が正面らしい。それにしても、とんでもなく幅広な城館だ。この写真を撮るために、2~300mほど下がって撮った(笑)。
主塔の屋根と王の門
城を囲む城壁の正面にある王の門から入城するのだが、その奥に見える主塔の豪華なというか、賑やかな屋根に圧倒される。
水堀越しに見るシャンボール城北西面
水面に映るシャンポール城を撮りたかったが、風が強くてさざ波がたっていて断念。しばらく待っていたのだが・・・(;>_<;)。
東側から眺めるシャンボール城
南側から正面城壁を
城の北西面へ東側から迂回する入口の門
チケット売り場
シャンボール城観光は、やはり人気があるようで、城内への入口のチケット売り場は大変な混雑ぶりだ。
【城内へ】
主塔正面
城内へ入ると、正面に壮大な主塔が現れる。
主塔
礼拝堂の翼棟方面を
【主塔内へ】
二重螺旋階段
主塔内へ入り、最初に目につくのが、中心部分にあり、城館の3つの階をつなぐ有名な二重螺旋階段である。各階では、この階段を中心に十字型の放射状に4部屋が拡がっている。設計にはフランソワ1世がフランスに招いたレオナルダ・ダ・ヴィンチが関わっているとも伝えられているが定かではない。
二重螺旋階段の空間部分
一方の階段から、他方の階段を通る人の姿を中心の空間部から垣間見ることは出来るが、決してすれ違うことはない。
テラスから主塔中心部の二重螺旋階段の塔を望む
テラスから広大な庭を眺める(正面)
テラスから左(東)の方を眺める
乗馬をしている人の姿が
東の方(上写真方向)に、乗馬を楽しむ人の姿が見える。
王の翼棟
テラスは、東側部分は自由に歩き回ることができ(西側部分は途中から進入禁止になっている)、王の翼棟の全体がよく見える。主塔とこの王の翼の塔が、フランソワ1世の時に建てられたものである。
【各室内】
レセプションルーム(1階)
ルイ14世の頃には控えの間として使われ、ルイ15世の時には、その愛妾ポンパドゥール夫人を城主サックス元帥が迎えた部屋だという。もともとあった家具調度品はフランス革命時にほとんど略奪され、これらの絵は革命後の城主シャンボール伯爵が運び込んだものという。ピンボケでスミマセン( ̄ー ̄;。
馬車の間(1階)
1871年にシャンボール伯爵のために作られた馬車であるが、一度も使われることはなかったという。馬具一式はパリの老舗エルメス社製である。
王の居室(2階)
王妃の居室(2階)