肥前 鶴亀城(雲仙市国見町)

鶴亀城本丸虎口と城址碑

神代氏により鎌倉時代に築かれた難攻不落の城砦

読み方

つるかめじょう

別名

神代城(こうじろじょう)

所在地

長崎県雲仙市国見町神代丙
【アクセス】
島原鉄道「神代町駅」の南西約600m。国道251号「神代」信号を南へと県道131号に入る。この左手前方が城跡ですが、さらに500m程南下して左折すると堀切跡を利用した道路となる。その右手が本丸で神代神社があり、左手が二の丸跡。

形状

丘城(海城)

現状・遺構等

【現状】 神代神社、山林、畑
【遺構等】 曲輪、土塁、空堀、標柱、説明板

満足度

☆☆☆☆

訪城日

2012/11/10

歴史等

鶴亀城については、詳細は分かっていないが、「雲仙満明寺縁起」や「大宰府管誌・延喜式」など古い記録から、鎌倉時代より、もっと往古からあったことだけは推定できる。
「大宰府管誌・延喜式(延喜10年・910)」には、神代荘園として神代家が載っており、この頃から荘園の主として神代家が勢力を台頭して来たと考えられる。
弘安4年(1281)の蒙古襲来時には、神代家も兵を率いて出陣した。 当城は、深い泥土に囲まれ、高さ約6丈(約18m)、広さは東西約2町(218m)、南北6町(654m)あり、代々築城し、神代貴益の鎌倉時代の後期に本丸まで整備したという。
弓矢時代には難攻不落の城で、南北朝時代(1334~1390)から戦国時代の天正12年(1584)までの間、幾度も攻撃されているが落城しなかった。
天文(1532~55)から天正(1573~92)にかけ、島原の有馬氏と佐賀の竜造寺氏がしのぎを削った。神代氏は、はじめ有馬氏に臣従していたが、天正12年(1584)竜造寺氏が海路、神代に上陸し、島津・有馬連合軍を攻めると、神代貴茂は竜造寺氏側につき、有馬氏に矛先を向けた。
その沖田畷の戦いで、竜造寺隆信が敗死すると、貴茂も退き、鶴亀城に籠った。島原半島の豪族達の大半が有馬氏側についたが、貴茂だけは服従を拒んだ。
有馬軍は、海・泥土で囲まれた鶴亀城攻めが難しいことを知り、和議を申し入れた。単独では勝てないと貴茂も仕方なく応じて和議の場所「轟城」に赴いたが、その祝宴の帰途、有馬氏の手で謀殺された。
3年後の天正15年(1587)、豊臣秀吉の九州征討後、鍋島藩初代藩主直茂は旧神代家の領地を秀吉から与えられた。
21年後の慶長13年(1608)、鍋島勝茂は、藩祖直茂の兄信房を神代に移し、鶴亀城跡の麓に鍋島陣屋を構えた。
『「現地説明板」、「歴史と旅・日本城郭総覧(秋田書店刊)」他参照』

現況・登城記・感想等

鶴亀城は、説明板によると、一説には、「景行天皇の熊襲征伐の時に、神代直(こうじろのあたい)という重臣がいて、その一族が、この土地に残って代々治めた」とある。これが事実なら、景行天皇の熊襲征伐は景行12年(82)ということなので、何と、2千年近く前のことだw(*゚o゚*)w。
さて、鶴亀城跡は、想像していたよりも遥かに規模が大きく、本丸跡は神代神社境内、二 の丸や出丸跡は畑や山林となり、土塁などの遺構は比較的良好に残っているようだが、ほとんど整備されていないので、藪が邪魔して見づらかったのが残念(/。ヽ)。
当時とは、かなり地形も変わってはいるが、今も海岸線に近く、3方が干満が大きい有明海に囲まれた高台にある城は、往時は、満潮時には海、干潮時には泥土で防御されていたとするならば、まさに要害堅固であったことが窺い知れる。
(2012/11/10登城して)

ギャラリー

現地説明板
神代や鶴亀城の名前の由来や、興味深い歴史が紹介されていたので、掲載してみた。
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城址全景(西側から)
神代城全景

堀切
本丸と二の丸間の堀切は、現在、道路となっている。深さ5mほどでしょうか。
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本丸
本丸跡には、神代神社が鎮座している。
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本丸土塁
本丸周囲には土塁が良好に残っている。
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本丸東側の土塁
本丸の東辺りは藪がひどいが、中へ入って行くと、土塁が良好に残り、一部はかなり幅も広く櫓を建てられるほどの広さがある。
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二の丸への虎口
二の丸虎口の辺りには、石積みが見えたが、往時のものではなさそうだ。
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二の丸西部分
二の丸の西半分は畑になっている。
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二の丸東側の土塁
二の丸の東には土塁が築かれている。土塁には石積みが見られたが、往時のものかどうかは・・・? 尚、大手口は、この先らしいが、時間がなかったので省略。
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二の丸東側の曲輪
土塁の東は雑木林で薮だらけ。しかし、ここにも土塁は確認できる。
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