コンウィ城(ウェールズ、コンウィ)

キングスタワーの上から見下ろすコンウィ城

エドワード1世がウェールズ攻略のため建設したアイアンリングの一つで、世界遺産に

英語名

Conwy Castle

所在地

Conwy, North Wales, LL32 8AY

訪城日

2014/07/22

歴史等

ウェールズは、大陸から流れてきたケルト人が6世紀頃に数々の小国に分かれ、お互いに権力争いをしていました。
その後、サウェリン・ザ・グレート(Llywelyn The Great)がウェールズを制覇し、統率者としての権力を確立した。その時からウェールズにとっての課題はイングランドからの侵略を如何に食い止めるかであった。
しかし、1282年、時のイングランド王エドワード1世に屈してしまう。
コンウィ城は、エドワード1世がウェールズ人の反抗を抑えるために築いた城で、1283年から4年という短期間で完成した。
さらに、エドワード1世は強力な力を固持するために、城を築くだけでなく、城壁で囲んだ新しい町を造った。そして、そこにイングランド人だけを住まわせ、およそ200年の間、ウェールズの人が城壁内に住むことは許されなかった。
イングランドの兵士達は、この城からウェールズ人の反乱がないかを見張っていた。
しかし、15世紀には、遂にウェールズ人からの猛攻撃を受け、イングランドの人達は城を撤退した。
しかし、その後、ウェールズの反乱は抑えられ、16世紀にはイングランドに併合されてしまいます。
コンウィ城は、その後も、17世紀の清教徒革命での王党派と議会派の攻防の舞台となった。
『現地購入誌他参照』

現況・登城記・感想等

エドワード1世はウェールズ攻略のために北ウェールズに、「*アイアンリング」と呼ばれる環状に8つの城を築きました。その一つがイギリスきっての堅固な城とも言われる「コンウィ城」で、カナーボン城、ビューマリス城、ハーレフ城とともに、1986年に「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁」として世界遺産に登録されています。
「コンウィ」は、町全体が城壁で囲まれた城郭都市で、その中心がコンウィ川の河口の高台に建つコンウィ城です。
コンウィの町が近づくと、威圧するような武骨な城の姿が見えてきます。そして、城が近づくにつれて、益々、迫力ある姿が目の前に現れます。
コンウィ城は、ほぼ長方形に城壁が城内を囲み、東西約90m、南北30~40mあり、その北壁と南壁に、それぞれが相対するように合計8基の塔が建っています。
城内は入り組んだ城壁で区画され、各塔の上から見下ろす城の光景は見応えがあります。中でも、キングスタワーから見下ろす城の全体像には魅了され、しばらくそこに佇んでいたいほどでした。
また、城から眺める「コンウィの町とそれを囲む城壁(市壁)」や「多くのヨットが浮かぶ海」の光景も素晴らしいです。
町を囲む三角形状の城壁(市壁)も良好に残り、その上を歩くこともでき、そこからの眺めもなかなかのものです。
コンウィ城は、屋根などは兎も角、城壁、塔、城門等々が良好に残る見応え満点の城でしたが、それにしてもこれほど立派な城が、日本では鎌倉時代の13世紀に築かれたとは驚きですネ。
(2014/07/22登城して)

*アイアンリング
多くのガイドブックには「アイアンリングは8つの城」とありますが、本によっては10城とも17城ともあり、数が違います。現地購入誌城(図参照)では、エドワード1世が築いたか、完全に造り変えた城は8城ですが、その他にも修理した城は4城あります。そして、さらにそれ以外にも幾つかあるようで、どれを入れるかによって違うようです。
アイアンリング1 アイアンリング2

ギャラリー

コンウィ城遠景
コンウィの町が近づくと、威圧するような武骨な城の姿が見えてきます。
11コンウィ城遠景

バスの窓から
コンウィ川に差し掛かると、益々、川の向こうに見える城の姿は迫力を増します。当写真は、バスの窓から撮ったもので、窓ガラスが反射するので、こんな写真しか撮れませんでした。
吊り橋は歩行者専用です。左の塔がキングスタワーで、右の塔が教会で、その手前下が「East Barbican」ですが、その下がコンウィ川で絶壁になっており、天然の要害地にあります。また、写真右には「Water Gate」があるはずなのですが、こんな写真なので・・・(/。ヽ)。
 
13バスの窓からコンウィ城を

【コンウィ城】
コンウィ城鳥瞰絵図(現地購入誌より)
コンウィ城は、ほぼ長方形に城壁が城内を囲み、東西約90m、南北30~40mあり、その北壁と南壁に、それぞれが相対するように合計8基の塔が建っています。
塔には、「North-West Tower」と「 South-West Tower」を除き、Chapel(教会)、Kitchin(キッチン)、Stockhouse(倉庫)、Prison(牢獄)、King's(多分、王の住居?)と、それぞれ用途に応じたような名称が付いています。
城の東西両側の「Barbican」は、日本の城でいう「馬出」+「見張り台」といったところでしょうか。
そして、「Outer Ward」と「Inner ward」は「外郭(或いは二の丸)」と「内郭(或いは本丸)」といったところでしょうか。
00コンウィ城

コンウィ城全景(北西から)
当写真は、城の北西下から撮ったもので、上の鳥瞰絵図と同じ方向からになります。
城への入城は、元々は右に見える門へ跳ね橋を渡って、直接登って行くようになっていたようですが、今は、右に見える橋を渡り、さらに進んだところからUターンして右に見える門の脇から入城します。

14コンウィ城全景

コンウィ城(西から)
当写真は、城の西側にある一般車駐車場から撮ったもので、左が「North-West Tower」で右が「 South-West Tower」、両塔の下が「West Barbican」です。両塔の間に人が立っているのは、両塔を繋ぐ城壁で、その上を歩くことができます。即ち、厳重な「Out Gate 」を破り、「West Barbican」へ入っても、真上から攻撃されてしまう訳です(;´▽`A``。
尚、写真左下の建物はビジターセンターで、チケット売り場でもあり、土産物などの売店もあります。
 
15west-barbican

ビジターセンター 
城内へは、ビジターセンターの中を通って入城しますが、その前にウェールズ語と英語の両方で書かれた看板があります。城内でもそうですが、ウェールズ国内では、案内板等は必ず両方の言語が併記されています。
17ticket-center

堀切
チケットセンターから城へ向かうと堀切があり、城と城外を断ち切っています。こういった縄張りは、日本の城と全く同じ考え方で、嬉しくなってきます。
ところで、写真奥の城壁下の門ですが、非常に幅が狭くて、登城前に我々が乗ったバスは、両側すれすれ(10cmほどしかなかったかも?)で、通り過ぎた時には、車内から拍手が沸き起こりました(笑)。

18堀切

Out Gate①
堀切には、現在は橋が架けられています。往時は、左写真の左側の石積み上から、右写真のところへ向けて跳ね橋が架かっていたようです。
19out-gate1 19out-gate2

Out Gate②
当写真は「West Barbican」から「Out Gate」を撮ったものです。本当に厳重に防御がされています。
20outer-gate

West Barbican
「West Barbican」へ入ります。正面奥に見えるのは「South-West Tower」です。 
22west-barbican

West Barbicanからの眺望
「West Barbican」からは西方面の旧市街が一望のもとに見渡せ、三角形状に旧市街を囲む城壁もよく見えます。すぐ下に見える道路は、先程渡って来た堀切です。
24west-barbicanからの眺望1

木組みの門番
「West Barbican」から「Main Gate」をくぐると、すぐ左手に、槍を持った、どでかい木組みの門番が待ち構えていますw(*゚o゚*)w。写真左奥は「North-West Tower」への入口です。
31門番

Outer Ward①
「West Barbican」から「Main Gate」をくぐった正面が「Outer Ward」です。日本の城でいう「外郭(或いは二の丸)」といったところでしょうか。周囲を囲む城壁とその上に林立する塔がかっこいいですね。
29outer-ward

Outer Ward②
当写真は「Middle Gate」の上から、「Main Gate(写真中央奥)」方面に向かって撮ったものです。「North-West Tower」には「ウェールズ旗」がはためいています。
29out-ward2

Stock-House Tower
「Outer Ward」の左奥には「Stock-House Tower」が建っています。多くの塔は、上まで登ることができますが、どうやらこの塔は登れないようで、テッペンに草木が生えているのが見えます。右奥に見えるのは「Chapel」の塔ですが、幾人もの人が登っています。
35stock-house-tower

Great Hall①
「Outer Ward」の南側には「Great Hall」があります。石組みのアーチ状がかっこいいですが、「Great Hall」と、その奥の「Chapel」には、勿論、往時は屋根がありました。当写真は「Main Gate」の上の「South-West Tower」寄りから撮ったものです。
37great-hall3

Great Hall②
当写真は「Middle Gate」の上から撮ったものです。
37great-hall2

Prison Towerの中へ
「Great Hall」の南側には「Prison Tower」が建っています。中へ入って、地下へ下りて行きましたが、薄暗くて、如何にも牢獄といった雰囲気です。しかも、底には井戸のような穴があり、水もたっぷり・・・。
39prison-tower1 39prison-tower2

Inner Ward
「Outer Ward」の奥にある井戸の脇を通り、「Middle Gate」をくぐると「Inner Ward」です。日本の城でいう「内郭(或いは本丸)」といったところでしょうか。
左写真は、「King’s Great Chamber」との間を仕切る壁に向かって撮ったもので、左上が「Chapel」の塔です。右写真は、「Midle Gate」を撮ったもので、さすがに「Outer Ward」とを仕切るだけあって、窓がありません。

41inner-ward1 41inner-ward2

King’s TowerとChapelを見上げる
左写真は「King’s Chamber(King’s Kitchin)」から「King’s Tower」を見上げたもので、右写真は「King’s Great Chamber」から「Chapel」を見上げたものです。 
43king's-cahmberからking's-tower 44kig's-great-chamberからchapel

城東側の城門(Gate-Way to Inner-Ward from East-Barbican)
城の東側には「East Barbican」があり、「inner Ward」への出入口(城門)があります。さしずめ、日本の城でいう「搦手門」ですね。こちらも「West Barbican」と同様、頭上(城門上)を歩くことができ、たとえ搦手口を破って入って来た敵も上からの猛攻に耐えられないのでは? 右の塔が「Chapel」、左の塔が「King’s Tower」です。
45gate-way to inner-ward from east-barbican

King’s Tower & Chapel(East Barbicanから撮影)
この2つの塔は、どちらも登ることができ、絶景を楽しめます。
47east-barbicanからking's-tower 48east-barbicanからcahple

King’s Towerから城を見下ろす
この「King's Tower」のテッペンから見下ろす、複雑に入り組んだ城壁と多くの塔が並び立つ廃墟のコンウィ城と、さらには城の遥か向こうに見える町を囲む城壁の光景にはすっかり魅せられ、いつまでもそこに佇んでいたいほどでした。
53king's-towerから全景

East Barbicanからコンウィ橋を見下ろす
城の東側はコンウィ川の河口で、3つの橋が架かっています。右から「管状(箱桁)鉄道橋」、「歩行者専用の吊り橋」、「車専用の橋」です。鉄道は城の南側、道路は城の北側を通っています。
鉄道橋は、長い筒状の箱の中を鉄道が走る仕組みの珍しい管状(箱桁)鉄道橋で、1847年完成しました。海岸で製造され艀で現場に運ばれて架設されたそうです。
吊橋は1826年の建造です。吊橋は現在旧橋という形で、北側を平行して走る新しい橋が自動車専用となっています。

52bridge from east-barbican

East Barbicanからの眺望①
East Barbicanの北東には、コンウィ川河口が見えます。城と数多くのヨットが浮かぶ河口の光景はなかなかのものです。実は、このコンウィ川の河口ですが、帰国して調べるまで、てっきり海だとばかり思っていました(;´▽`A``。この写真の左奥に、山麓にある「water Gate」へ続く搦手道があるはずですが、景色に見惚れて見落としてしまいました( ̄ー ̄;。
51seen from east-barbican

East Barbicanからの眺望②
51seen from east-barbican2

【城壁(市壁)とコンウィの町】
城壁(市壁)
エドワード1世は強力な力を固持するために、城を築くだけでなく、城壁(市壁)で囲んだ新しい町を造った。三角形状に町を囲む城壁(市壁)は、高さ約9m、全長1.2㎞あり、21の塔と3つの城門を持ちます。
00コンウィ城壁

Mill Gate
バスの駐車場は、コンウィの町をめぐる城壁(市壁)の南側でした。城壁(市壁)内へは、3つある城門のうち、「Mill Gate」から入城です。
02Mill-gate

Mill Towerを内側から
なかなかしっかりした城門です。例の如く、案内標識はウェールズ語と英語が併記されています。勿論、ウェールズ語が優先なので、上に書かれています。
02Mill-gate-inside

南面東側部分の城壁
「Mill Gate」の右側には立派な城壁が聳えています。 
00城壁南面東側

南面東側部分の城壁を内側から
「Mill Gate」から城壁内へ入ると、一般車用の駐車場になっています。多くの観光客が城壁の上を歩いていました。写真右奥が「Mill Gate」です。
城壁南面城内側

南面城壁全景
当写真は、コンウィ城の「West Barbican」から撮ったものですが、遥か向こうの高くなったところにある「Watch Tower」が見えます。
00南面城壁全景

Watch Tower,Upper Tower,Mill Gate
当写真も「East Barbican」からズームアップして撮ったものです。一番奥の少し高くなった所には「Watch Tower」が築かれていますが、そのものがちょっとした城砦です。その手前の塔は「Upper Gate」で、さらにその手前が「Mill Tower」です。
是非、城壁の上を歩いて「Watch Tower」まで行きたかったのですが、時間がなく断念することになりました(/。ヽ)。

west-barbicanからの眺望2

北東面東側部分の城壁
この城壁にある「Postern Gate(裏門?)」から川辺へ出ました。但し、この門は後世になってから設けられたもののようです。
13城壁北東面東側

川辺
コンウィ川の河口ですが、多くのヨットが浮かぶ姿は、のんびりした感じでいいですね。
15海辺

北東面西側部分の城壁と塔①
川辺に沿って城壁が築かれています。城壁や塔を利用した家がかなりあるみたいでした。
17城壁北東面

Lower Gate
城壁沿いに北西へ歩いて行くと立派な城門「Lower Gate」が現れます。城門両側の塔(門楼)は、トイレとして利用されていました。周囲を飛んでいるのはカモメ(多分)です。
18lower-gate

「Smallest House」が見えて来ました
さらに歩いて行くと、左手に、知る人ぞ知る「Smalest House」が現れました。以前、テレビの旅番組で見たことがあります。この家も、城壁を利用しているようです。
写真奥の城壁は、一部だけ海へ突出して築かれている部分です。

19城壁北東面

グレート・ブリテン島で一番小さな家(The Smallest House in Great Britain)
ギネスブック公認のイギリスで1番小さな家で、高さ3.05m、幅1.3mの2階建てです。16世紀に漁師の家として造られ、1900年まで実際使われていたそうですが、この家の最後の住人の漁師は身長が1m90cmだったそうです。家の前には、ウェールズの赤い民族衣装を着たご婦人がいて案内しています
21smolest-house

北西面の城壁(外側から)
北西面の城壁と塔も良好に残っています。この、北西面には外側に空堀が設けられています。
28城壁北西面

城壁上へ
許された自由時間は僅か20分しかありませんでしたが、何はともあれ、北西面の城壁の上へ登りました。城壁の上部幅は1.5mほどです。この城壁や塔は一部崩れた部分もあり、かえって趣きがありますね。また、修理もしっかりされていて歩きやすいです。
31城壁北西面上

城壁上を歩く
この城壁上を5~6分ほど歩いて行けば、「Watch Tower」や「Upper Gate」まで行けるはずですが、何ぶん時間がありません。少し行ったところで、引き返すことになりました(;>_<;)。

33城壁北西面上

城壁上にて河辺を背景に
このアングル、何とも言えず気に入っています。
35城壁と塔

城壁上からコンウィ城とコンウィ橋を
この光景もなかなかのものですよね。
41城壁上から城を

Castle Street①
この通りが、コンウィのメインストリートのようですが、観光客以外、あまり見掛けませんでした。
51Berry-street

Castle Street②
コンウィは小さい町ですが、13世紀頃にイングランド人が住んだという、古くて重厚な建物などが残っており、中世の雰囲気が色濃く残っています。
52castle-street

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