下野 村上城(市貝町)

益子氏一族・村上氏3代50年間の居城

所在地

栃木県芳賀郡市貝町市塙字観音山3051
【行き方】
説明が難しいが、「観音山梅の里」でもあり、一帯は梅の里として有名なので市貝町で尋ねたらすぐ分かると思う。また、山腹に「村上城跡」と 「観音山梅の里」の大きな看板があり、かなり遠くからも見える。

形状

山城(標高172.2m)

現状・遺構等

現状:観音山梅の里
遺構等:曲輪、土塁、空堀、土橋、石柱、説明板

満足度(10点満点)

6点

訪城日

2009/02/19

歴史等

村上城は、古文書によれば、「文治3年(1187)平宗清の守る村上城が落ちた」とあることから、 築城の時期は平安時代末頃と思われる。
その後、永和4年(1378)に益子正宗の次男・村上良藤によって、現在の遺構のような城が築かれ、この時に「子孫女」と称していた地名を 「村上」としたという。
その後、則光・光義と3代約50年にわたり居城した。
『現地説明板3箇所より』

現況・登城記・感想等

村上城址は「観音山梅の里」となり、本丸跡と山麓から山腹一帯が見事な梅林になっており、 花の咲く3月頃には相当な人出があるのではないだろうか?
それ故、城址遺構は壊滅状態ではないかと心配したが、曲輪・土塁・空堀等が実に良好に残っている。中でも、この城址の魅力は、 本丸を中心に二重、三重に取り囲む空堀であろう。兎に角、廻っていても「堀・堀・堀・・・」といった感じで楽しい。
城の縄張は、観音山の最高所にある本丸を中心に同心円状に曲輪が巡っている。本丸周囲には土塁と空堀が廻り、さらにその北側と東側には、 空堀が三重に巡っている。本丸南端部の空堀は複雑な折があり実に見応えがある。
登城前に想像していたのとは大違いで、実に素晴らしい城址だった。
(2009/02/19登城して)

ギャラリー

縄張略図(現地説明板より)

登城口(観音堂の下)
この写真は観音堂の下にあたる。正面の石段を登って登城する。ここに城址碑と簡単な説明板が立っている。 山麓から山腹のこの辺りまで梅林になっているが、表紙写真のように梅林は段曲輪のようになっているが、その辺りは改変著しいと思われる。 この上辺りからが往時の城域であろうか。尚、山麓にも駐車場があるが、この写真右手前にも第一駐車場がある。

観音堂
行基作と伝えられる木造11面観音像が安置されている。この辺りも城域であっただろう。

大手口
永徳寺本堂と観音堂の間にある鳥居が大手口で、壱の堀・本丸跡へと続いている。ここには、 縄張図付きの説明板が設置されている。

大手道(堀底道)
鳥居をくぐって、堀底道を登り始める。この城の空堀は、多くの中世山城のように、 防衛のためと同時に通路としても利用していたであろう。この堀の上の方が壱の堀となる。

本丸東側の空堀(壱の堀)
堀底道は壱の堀(内堀)へと続く。写真は本丸下南東部で、左土塁上が本丸である。

本丸枡形虎口?
上写真の所から本丸南東部へと上がると、左(西)側には土塁、右正面(北)には土壇があり、 枡形虎口のようになっている。写真奥(北)は一段高くなっている。即ち、本丸は2段構造になっている。

㊧本丸北西部分、㊨本丸東側土塁
本丸北部分は、全面梅林になっている。東西最大幅約40m、南北約85mの南北に長い不整な三角形で、 周囲を土塁が巡っている。
 

本丸北隅
本丸北隅には祠が祀られている。この背後の高さ2m弱の土塁が櫓台とも言われるようだが、 とても櫓を立てるほどのスペースがあるとは思えなかったが・・・・?


【堀・堀・堀・・・・・】
私は、この城址の魅力は、何と言っても二重・三重に巡る空堀であると思う。そこで、 空堀だけまとめてみました。
㊧本丸北から東にかけての空堀 ㊨本丸東側の空堀
㊧は北端部から東へと廻る部分、㊨は北から撮ったもので、右上が本丸。本丸側の高さは約4m、 外側土塁は高さ2mほどある。
 

本丸北西部の空堀

本丸南西虎口手前の土橋両側の空堀
㊧土橋の北側 ㊨土橋の南側
縄張図によると、南西には虎口がない。しかし、後世、 梅林の造園時に改変されたものかも知れないが、現実には本丸への土橋と虎口がある。

 

本丸南西角の空堀

本丸南の折のある空堀
この複雑に屈曲した空堀は実に見応えがあり、いつまでも眺めていた。

本丸南東部の空堀
この空堀は、本丸枡形下辺りで、正面が大手道である空堀に突き当たる。

弐の堀
名前は分からないが、内堀を壱の堀と言うようなので、仮に「弐の堀」としたが。 本丸の東側から北側にかけて巡る三重の堀の真ん中の堀である。この空堀は、現在、発掘復元中のようであった。深さ約3m、上部幅約4m、 底部幅約2mといったところだろうか?

参の堀(外堀)
この最も外側の空堀も見応え充分だ。弐の堀と規模は同じくらいだ。

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