安芸 吉川元春館(北広島町)

館正面の長~く延びる石垣

吉川元春の隠居後の居館

別名

御土居、元春公下屋敷、海応寺本館

所在地

広島県山県郡北広島町海応寺255-1
【アクセス】
館跡のすぐ横(北側)に「戦国の庭・歴史館」が建てられ、駐車場も完備しています。
戦国の庭・歴史館:北広島町海応寺255-1

所要時間

今回の見学時間は45分でした。

形状

現状・遺構等

【現状】 歴史公園(国指定史跡)
【遺構等】 復元台所建物、建物復元表示、庭園、石垣、土塁、空堀、礎石、井戸、水路、元春墓所、石碑、説明板など

満足度

★★★☆☆

訪城日

2013/11/25

歴史等

駿河国を本拠としていた吉川氏は、鎌倉時代末期に大朝本庄(北広島町大朝)に地頭として入り、室町時代には安芸国北部を中心とする地域を治める国人領主に成長した。
戦国時代には、周防国の大内氏と出雲国の尼子氏との間に立たされたが、毛利元就の次男・元春を養子として迎えて、当主とし、毛利体制に入った。元春は、弟の小早川隆景とともに毛利氏を補佐し、おもに山陰攻略に貢献した。
天正10年(1582)、日野山城に居た元春は、元長に家督を譲り、日野山城南西麓に当館を築いて隠居をした。
元春と元長の死後、当主となった元春三男広家が、天正19年(1591)に出雲月山富田城へ移ったため館の機能は失われ、元春の菩提寺として建てられた海応寺の寺領となった。
関ヶ原合戦後、吉川氏は岩国へ移ったが、それまでの吉川氏に関わる遺跡が北広島町に分布しており、そのうち、駿河丸城跡・小倉山城跡・日野山城跡・吉川元春館・松本屋敷跡・万徳寺跡・洞仙寺跡・西禅寺跡・常仙寺跡の9遺跡が「史跡吉川氏城館跡」として国の史跡に指定されている。
『「現地説明板」、「日本城郭大系13」参照』

現況・登城記・感想等

吉川元春館跡は、「兎に角、広く、館正面の石垣が立派」で、往時の吉川元春の権勢のほどが窺われます。そして、全面に芝生が張られた綺麗な歴史公園として整備され、気持ちよく見て廻れます。
庭園、土塁、石垣、空堀、大溝、暗渠などが発掘復元されるとともに、殿舎などの建物跡の礎石などが展示され、台所は再建されています。また、井戸跡や便所跡なども発掘されています。
尚、館跡の西の森の中が海応寺跡で、元春・元長父子の墓所もあります。
(2013/11/25訪れて)

ギャラリー

吉川元春館縄張図(現地説明板より)
IMG_5544

戦国の庭・歴史館
当写真は、吉川元春館の北面ですが、切岸と土塁で守られていた。現在、館跡のすぐ北側には、史跡吉川氏城館跡(吉川元春館跡・万徳院跡・小倉山城跡など9史跡)を案内する施設『戦国の庭 歴史館』が開設されている。 
01歴史館

石切場跡
館跡の北東に東西7m、高さ4mの石切場跡があります。ここの石を使って館正面の石垣(写真上)を築いたのでしょうね。所々に長さ10cm、幅8cmの石切の工具の痕(矢穴)が残っています。中央には、割られたまま使われなかった石があります。写真左の階段を登って館跡へ行きました。
03石切り場

館正面の石垣①
階段を登ると、いきなり館正面(東面)の立派な石垣が現れます。
05石垣

館正面の石垣②
この館正面の石垣は、幅8mの門の北側に約50m、南側に約20m延び、高さも約3.5mもある立派なものです。 
07石垣

館正面の石垣の図(現地説明板より)
間隔をあけて据えた立石(A)の間に平らな石を横積み(B,C)にする石積み技法です。万徳院や松本屋敷跡などで見られる、この地域独特の積み方で、古文書に記されている「石つき之ものとも」と呼ばれていた石垣築造の専業職人達が築いたものと考えられます。
IMG_5532

館正面の門跡
09門跡

正面の門へ通じる登城道
門へは、両側が高くなった堀底道のような通路(登城道)が通じている。
00登城口

通用口
正門の南側脇に、館内へ入るなだらかな坂道が設けられている。通常は、この通用口から入館したのでしょう。
11通用口

堀と土塁
館の南側は、空堀と土塁で区画されている。堀は、幅約7m、深さ約1.5mで、東側(写真手前側)は岩盤を避けて、南側に屈曲しながら自然の流れになっています。
13土塁と空堀

館全景
当写真は、入館して、館の北東部から撮ったものです。入館して、まず最初に感じるのは、「兎に角、広い」ということです。
館は、土塁と石垣で区画された、間口約110m、奥行き約80mの広さで、殿舎・湯殿・台所・便所などの建物跡や井戸・水路・暗渠・庭園などの施設等々が数多く見つかり、殿舎などの建物跡の礎石などが展示され、台所(写真左)は再建されています

15全景

殿舎跡(門・築地塀跡)
当写真は館の北東隅の殿舎跡です。長さ18mの築地塀と門の跡で、門跡は幅2mで、入口に階段があります。内側には東西13.5m、南北11.75mの書院造りの礎石建物跡があります。
17殿舎跡

庭園
19庭園

吉川元春・元長の墓所
館跡の西の森の中に、元春・元長父子の墓所があります。
23元春墓

再び、館全景を
当写真は、館の南西から撮ったものです。
全景

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