近江 新宮支城(甲賀市甲南町)

圧倒されるような高い土塁が周囲を囲む主郭

甲賀郡中惣の城の一つ、主郭周囲の高い土塁は圧巻

所在地

滋賀県甲賀市甲南町新治
新治神社の南東約200m。城跡の東側が登城口になるので、新治神社より1本東の道へ廻りこむことになる。

形状

平山城

現状・遺構等

現状:山林
遺構等:曲輪、土塁、堀切、虎口、説明板、標柱

満足度

★★★☆☆

訪城日

2010/02/06

歴史等

中世後期、甲賀の小領主たちは、同じ名前を名乗る一族同士で血縁的な結合を強め、同名中惣を組織していた。
永禄から元亀の頃になると、その連合が甲賀全域に拡大し、甲賀郡中惣が結成された。
同名中惣内部では、総領家を中心としながらも、その力は絶対的なものでなく、分家に当る庶子家の自立度は高く、それぞれに城を構えていた。 そして、他所の一揆衆との間に争乱が起これば、一味同心に合力して戦うことなど、有事の際の具体的な行動が、 一族内の取り決めとして定められていた。
同規模の武士団が連合し合った郡中惣という枠組みの中では、甲賀郡を一円的に掌握する突出した領主は現われず、そのため同じ規模、 同じ形の城が、多く造られたものと考えられる。
新宮城、 新宮支城もそのような甲賀郡中惣の城の一つである。『「近江の山城・中井均著(サンライズ出版刊)」、「現地説明板」より』

現況・登城記・感想等

甲賀特有の二城連結城で、北にあるのが新宮城、 南にあるのが新宮支城で、両城は浅い谷を挟んで僅か50m程しか離れていない。
新宮城へは道が整備されているが、 新宮支城へは道がなく、斜面を直登しないと城域へ入れない。
新宮支城の主郭内の広さは、20m×30mほどの長方形で、あまり広くはない。
新宮支城の見どころは、主郭周囲を取り囲む、部厚くて高い土塁である。そのそそり立つ土塁は、最も高い南西角では、 曲輪内からでも比高差が10mほどにもなる。中世以前の城郭で、こんなに高い土塁は初めて見た。
丘陵を削って、すり鉢状に窪ませると同時に、削った土を掻き揚げて、このように高い土塁が築かれたのであろう。
また、南北両側の堀切も非常に深くて迫力がある。
(2010/02/06登城して)

ギャラリー

城址手前に立つ標柱
城址の東側の道端に標柱が立っている。しかし、ここから主郭への道は整備されていない。

さあ、登城
道がないので、斜面を直登すると、平坦地(曲輪)があり、その横に土塁が。 その奥上には主郭の土塁が見えたので、右の土塁の上を登って行った。

北側の堀切
土塁の上を登って行くと、主郭の北側に大規模な堀切を見付けた。同行したMaっさんと較べてもらえば、 その規模が分かるでしょう。

主郭周囲の土塁の上
上写真の堀切を直登し、主郭の土塁上へ出た。土塁は幅も部厚い上に、非常に高い。

最も高い南西角の土塁上から
主郭周囲をめぐる土塁の中でも、南側が高くて部厚い。中でも、南西角が最も高く、 曲輪内からでも高さ10mはゆうにあるだろう。

南側の堀切
主郭の南側の堀切を、南西角の土塁上から撮ったものであるが、その深い堀切は迫力満点(^^)

主郭                              ~クリックにて拡大画面に~
主郭内から見上げる土塁は、まさに迫力満点! 写真正面が南で、左奥が南西角の最も高い部分になる。 奥に立っているMaっさんと較べてもらえば、その高さが分かるでしょう。

虎口
虎口は東側にだけ平虎口が開けている。ただ、この虎口へは結構急傾斜である。

トップページへ このページの先頭へ

コメント

この記事へのコメント

名前

メールアドレス

URL

コメント