伊賀 上野城(伊賀市、旧上野市)

内堀に聳える日本屈指の高石垣

築城の名手・藤堂高虎が大坂攻めを控えて築いた日本屈指の高石垣の名城

別名

白鳳城

所在地

三重県伊賀市上野丸之内

形状

平山城

現状・遺構等

遺構等:模擬天守閣・櫓、曲輪、天守台、石垣、堀、土塁、石碑、説明板

満足度

★★★★

訪城日

1985/05/11
2006/05/03

歴史等

天正9年(1581)の織田信長による攻撃(天正伊賀の乱)による、徹底した殺戮と焼き討ちにより伊賀は焦土と化した。
天正13年(1585)大和郡山城主筒井定次が伊賀一国の領主として移ってきた。定次は、古くから交通の要所で、平清盛の発願で建てられたという平楽寺や伊賀国守護二木氏の館のあった跡に新城を築いた。一番高所に本丸を置き3層の天守を構え、その西に二の丸、その北の低い所に三の丸を配置し、周囲は諸河川が堀となり、なかなかの要害であった。
慶長13年(1608)、定次が家臣と争いを起こすと、その失政を理由に改易し、藤堂高虎に伊勢・伊賀両国を与えた。大阪の陣前に豊臣方に備えるために、彦根と伊賀上野を重要拠点として考えていた家康は、 彦根に井伊直政を置き、伊賀上野に藤堂高虎を配したのである。
高虎は家康の真意を読み取り、慶長16年(1611)から鉄壁の名城に仕上げるべく、大改修に乗り出した。新上野城は、大手が南へ移されて、城地を西へ拡大し、西面には大きく深く堀が造られ、高く石垣が積まれた。さらに本丸西側に5層の天守をあげるはずであった。しかし、慶長17年(1612)天守が暴風に襲われて崩壊した。
こうしているうちに大坂の陣が始まり、豊臣氏は滅亡し、伊賀上野城の戦略的な意味は失われてしまった。以後は、武家諸法度によって諸大名の城普請を禁止したので、再び建てられることがなく明治維新を迎えた。元和元年(1615)の一国一城令では「伊賀の城」として存続を認められ、津・藤堂氏の支城として城代が置かれ、明治に至った。
現在の天守閣は昭和10年(1935)川崎克氏が私財を投じて高虎の築いた基台に木造建築による模擬復興したものである。
『「現地説明板」、「日本の名城・古城もの知り事典(主婦と生活社刊)」、『「日本百名城・中山良昭著(朝日文庫刊)」参照』

現況・登城記・感想等

20年以上も前に行ったきりである。当時は、大阪城の対豊臣対策の城であるという知識だけを持っていて、藤堂高虎というのは世渡り上手な嫌な奴という感じしか持っていなくて、あまり城郭そのものには興味はなかったが、高石垣の勾配と反りのかっこよさだけは憶えている。また、紅葉もなかなか綺麗であった。近いうちに、再登城してじっくり見て廻りたいと思う。
(1985/11登城して)

21年ぶりに登城しした。やはり内堀の高石垣は素晴らしかった。また、水堀の青い色と調和がとれて、その美にさらに磨きがかかる。
歳とともに高所恐怖症になってきている私であるが、その魅力には勝てず、高石垣の上に立って何枚も写真を撮った。勿論、石垣の下の水堀の外側からも。
また、城そのものも模擬天守とはいいながら、昭和の初めの木造建築でもあり、ここまで歳月を重ねると本物と云ってもいいのかもしれない。また実際に絵になる。
ただ、堀切や曲輪等々遺構が結構残っているのに、ほとんど案内板や説明板がなく、パンフレットにさえ載っていないのは本当に残念であるとともに、折角の観光資源が勿体無いと思う。
(2006/05/03登城して)

ギャラリー

堀切
幅も、深さもかなりのものである。

天守(筒井城跡から撮影)

㊧筒井城跡
天正13年(1585)伊賀国主となった筒井定次が文禄の頃三層の天守をもつ平山城をここに築いた。藤堂高虎が築城後は、城代役所があったようだ。

㊨天守閣から筒井城跡を

本丸から天守を

忍び井戸(小天守閣内に現存)
藤堂高虎は、城郭構築の随一とうたわれた西島八兵衛を奉行として城郭の縄張りを始めた。八兵衛は3ヶ年の籠城に耐える為に小天守内に井戸を掘った。
浅井戸では水が湧かないので50間の深井戸を掘り、井戸側から横へ3ヶ所の隧道を掘って抜け穴とした。抜け穴は城を中心に四方に通じ、兵糧の搬入、外部との連絡、援軍を城内に引き入れる路でもあった。
特に、秘密を保持する為、抜け穴の出口と小天守に忍びの者を常駐させ井戸の監視にあたらせ藩士といえども井戸を覗くことを許されなかったとのこと。さすが伊賀だあ~!!


内堀の高石垣、高石垣、高石垣 ・・・ とにかくこの高石垣は素晴らしい!!!
【高石垣の上から】

高さは30mとか。結構気持ち悪い。



【水堀の外側から】

~この写真はクリックにて拡大画面に~

 

鍵屋の辻
城下には荒木又衛門で有名な鍵屋の辻がある。
 

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