伊勢 津城(津市)

模擬三階櫓

築城の名手・藤堂高虎が大修築して入城した津藩32万石の城

別名

安濃津城

所在地

三重県津市丸之内

形状

平城

現状・遺構等

現状:本丸と西の丸は公園
遺構等:本丸丑寅櫓跡に模擬三重櫓、本丸南西隅に大・小天守台、本丸と西の丸の石垣が現存、北・西側の堀が現存、 西の丸跡に藩校有造館の入徳門を移築、その他に曲輪跡

満足度

★★★☆☆

訪城日

2002/04/30
2010/02/08

歴史等

津は古くは安濃津と呼ばれ、港であり、政治、軍事の中心地でもあり鎌倉時代には長野氏が拠り、永禄年間に長野氏の一族・ 細野藤敦が城を築いたのが始まりとされる。
長野氏当主は、北畠具教の子具藤であった。具藤には力はなく、細野藤敦が睨みを利かせていた。永禄11年(1568) 織田軍は藤教の城を攻めたが落とせなかった。そこで、信長は縁者を使い藤教を説得し、具藤と藤教の仲を裂き、 信長の北伊勢攻略責任者の滝川一益の子を信長養子にして、藤教の跡継ぎにしたという。
こうして、安濃津城に弟の織田信包を入れた。信包は城を拡張整備して、五層の天守を築き、15万石を領した。城は、元亀年間 (1570~1573)には着工したが、兄信長に従い各地を転戦していたため、完成は天正8年(1580)になった。
信包は信長の死後秀吉に仕えたが、「朝鮮の役」で秀吉の機嫌を損ね、文禄3年(1594)丹波柏原に減封となり、 替わって冨田知信が5万石で入った。
子の信高の時に、「関が原の戦」を迎えることとなった。信高は石田三成と仲が悪く徳川家康に味方し東軍に属した。伊勢は、 三成らの西軍にとって、喉から手が出るほど欲しい場所で、そのため、前哨戦で毛利秀元に激しく攻められ津城は落城したが、 西軍足止めの功により、2万石加増された。
慶長13年(1608)富田信高は伊予宇和島へ12万石で転封となり、 伊予今治から藤堂高虎が伊賀伊勢22万石 (後に10万石加増)の領主として入った。元来5万石程度の城に32万石の大名が入り、それも築城名人の藤堂高虎である。 一挙に数倍の城に築き直してもよさそうだが、実際には、当初は支城(後に本城とする・当初の本城は伊賀上野城) とし、有事の際には伊賀上野城を使うことにして、 津城には大きな改修を施すことはなかった。また、織田氏時代にあった五層の天守閣も再建しなかった。
藤堂氏は、久居藤堂名張藤堂と支藩を置き、 伊賀上野城に城代を置いて領内治世を行った。 藤堂氏は、江戸時代を通じて津城を動くことなく11代263年で明治維新を迎えた。
『「日本の名城・古城もの知り事典(主婦と生活社刊)」、「日本百名城・中山良昭著(朝日文庫刊)」参照』

現況・登城記・感想等

築城の名人・藤堂高虎が築いた城にしては非常に小規模であり、その上、内堀も埋め立てられて、 往時と較べると幅が狭くなっているとのことであるが、その石垣は結構高く、水堀に映えてなかなかのものである。
現在は、本丸と西の丸部分だけが残り、公園として整備されている。本丸内は近代的な洋風庭園になっている。 南西隅には天守台も残っているがこの天守台は階段がなく登ることが出来ない。西の丸は日本庭園でここには藩校の「入徳門」が移築されている。
全体的に、市街地のど真ん中にあるわりにはよく遺構が残っている方であろう。それなりに見て廻って満足出来る城址である。
(2002/04/30,2010/02/08に訪城して)

ギャラリー

縄張図(現地説明板より)  ~クリックにて拡大画面に~

天守台
本丸南西隅にあるが、石段等がなくて、登ることができない。 写真右に途中まで登る石段が付いているんだけどねえ。

明治初め頃の本丸北石垣上に建つ「丑寅三重櫓(手前)」と「戌亥櫓(奥)」
説明板にあった写真を撮ったものであるが、今は、次段のように石垣と内堀が残るのみ。

本丸北側の石垣と内堀
往時は、上写真のように三重櫓が2基も。また、水堀も説明板の図(最上段の図)を見ると、 埋め立てられて3分の1ほどの幅になっているようで。今でも結構立派な堀だから、往時の堀は見事なものであっただろう。
 

本丸模擬三重櫓
ここは丑寅三重櫓続多聞櫓のあった所で、外観も史実に沿ったものではない。

月見櫓跡
本丸南東隅にある。往時は手前な水堀で囲まれていたんだけど・・・。

本丸埋門
本丸南面の天守台の近くに位置する。

本丸跡に建つ藤堂高虎像
本丸埋門を入って右前方、天守台の近く北東に建っている。

西の丸枡形門跡
西の丸南西隅にあり、往時は玉櫓と二階門があった。

藩校有造館の入徳門(西の丸跡に移築)

西の丸北側から本丸北側にかけての水堀
非常に広いが、これでも往時の半分以下だ。

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