本丸の二方を囲む空堀に架かる本丸橋
高遠城の支城、巨大空堀が良好に残る
別名
伊那部城、伊奈部城
所在地
長野県伊那市伊那、春日公園
JR飯田線「伊那市駅」の西約900m。「伊那市駅」西側の「駅前」信号を西へと県道202号に入ります。そこから1km程行くと左手に「春日公園」があります。この公園が城跡です。町の至る所に案内板があるので分かると思います。公園に無料駐車場が完備されています。
所要時間
今回(2014/11/08)の見学時間は40分
形状
平山城(標高670m、比高40m)
現状・遺構等
【現状】 春日公園
【遺構等】 曲輪、空堀、土塁、井戸、石碑
満足度
★★★★☆
訪城日
2014/11/08
2022/10/22
歴史等
春日城は、天文3年(1534)、平氏の末流・粟田口民部重吉の16代後裔がこの地に来て築城した。そして、本姓は春日であったが、在名を氏として伊那部(伊奈部)大和重慶と称した。
重慶は初めは300貫文を領し10騎の将であったが、次第に大きくなり伊那地方の重鎮となった。
その子・但馬守重成が継ぎ、さらにその長子・左衛門尉重親が継いだ。この時、次子・重国を伊那市内の殿島に分家させ、殿島城を経営させた。
弘治2年(1556)、重親は武田信玄に叛き捕囚となり狐島にて殺戮され家名を失った。
後の春日城主春日河内守昌吉は高遠城主仁科盛信の麾下の将となったが、天正10年(1582)織田信忠の大軍の来攻に遭い、城は悉く兵火で炎上した。
昌吉は、部下を引き連れ高遠城に参じ、虎口の門を死守したが討死し、盛信と運命を共にした。
以来、春日城は再興されることもなく廃城となった。
『「信州の山城・信濃史学会編(信毎書籍出版センター刊)」、「現地石碑・春日城の沿革」参照』
現況・登城記・感想等
春日城は、伊那市街を東方に見下ろす比高40mほどの台地先端部に築かれた平山城です。
東南隅に本丸を置き、北側と西側の二方を囲むようにして二の丸が設けられ、二の丸の西に三の丸を配置した梯郭式と連郭式の折衷様式の縄張りです。
現在は春日公園として整備・保存され曲輪・土塁・空堀が残っています。
当城跡の見どころは、何と言っても大規模な空堀でしょう。三の丸の西側を断ち切る堀切は、三の丸にNHKのラジオ中継基地が建設される際に埋められてしまったそうですが、本丸を取り囲む空堀と二の丸と三の丸間の空堀は良好に残っており見応え満点です。
また、本丸と二の丸の東端から見下ろす伊那市街とその背後の南アルプスなどの山並みの光景もなかなかのものです。
尚、当城跡(春日公園)は、紅葉の名所のようで、私が登城した時も多くの市民が訪れていました。
(2014/11/08登城して)
次男家族と温泉、蕎麦打ち体験、シャインマスカット&リンゴ(シナノスイート)狩りを目的に伊那旅行へ行き、できれば城めぐりと紅葉狩りもと思って登城しました。 以前(2022/11/08)、当城跡を訪れた時に、空堀等々の遺構だけでなく、見事な紅葉を見ることができたました。
今回は、その時より半月以上早いのですが、ここにきて急に寒くなり朝晩の寒暖差が大きくなり、各地の紅葉が例年より早いとのことなので、城跡そのものより紅葉を期待して訪れましたが、残念ながら全然紅葉は見られませんでした(/。ヽ)。
(2022/10/22登城して)
ギャラリー
春日城縄張図
春日城の縄張りはm東南隅に本丸を置き、北側と西側の二方を囲むようにして二の丸が設けられ、二の丸の西に三の丸を配置した梯郭式と連郭式の折衷様式で、各曲輪間は、大規模な空堀で区画しています。
説明だけではイメージが湧かないと思い、下手糞な縄張図を描いてみました( ̄ー ̄;。
春日城跡を仰ぎ見る
春日公園の近くまで来ると、城の東面の急崖に大きな看板が見えました。
本丸
本丸は東南隅に置かれ、東西約50m、南北約55mほどの規模で、東側と南側下は急崖で、北側と西側は巨大な空堀がめぐっています。当写真は、本丸の北側の空堀に架かる本丸橋から撮ったものです。
本丸北側の土塁
本丸の北側から西側にかけて高さ1.5mほどの土塁が残っています。
本丸南下の腰曲輪
本丸の南下には腰曲輪が配置されています。
本丸からの眺望
本丸の東端から見下ろす伊那市街とその背後の南アルプスなどの山並みの光景もなかなかのものです。
本丸の二方を囲む空堀
本丸の 北側と西側の二方は空堀がめぐっています。空堀の規模は上部幅約25m、深さ8mほどもある大規模なものです。写真は北西から撮ったもので、正面奥が本丸です。
本丸北側の空堀
本丸北側の空堀に架かる本丸橋
本丸北側の空堀には、現在、赤く塗られた本丸橋が架けられています。空堀は、東面の段丘崖まで延びています。
本丸西側の空堀と二の丸橋
本丸西側の空堀には、現在二の丸橋が架けられています。空堀は、城の南側のうぐいす洞まで延びています。
二の丸
二の丸は本丸をL字状にカバーした曲輪で、東西約120m、南北約120mほどあります。
二の丸東端からの眺望
二の丸東端から眺める伊那市街と南アルプスの山並みの眺望もなかなかのものです。
二の丸の石碑
二の丸から本丸へ渡る本丸橋の手前には、春日城の沿革が刻まれた立派な石碑が立っています。
二の丸西端の土塁
二の丸の西端には高さ1mほどの土塁が残っています。
二の丸と三の丸を分断する堀切
二の丸と三の丸は、上部幅約10m、深さ約7mの堀切で断ち切られ、現在、赤い三の丸橋が架けられています。
三の丸
三の丸跡は、現在、児童公園になっています。尚、その西側には、往時は西側の台地を堀切で断ち切っていたようですが、三の丸にNHKのラジオ中継基地が建設される際に埋められてしまったそうです。
うぐいす洞
春日城の南側は、急崖になっており、うぐいす洞とよばれる川が流れています。急崖から川にかけては見事な紅葉でした。
【付録・紅葉】
三の丸の西側の台地に、見事な紅葉があったので、ついでに写真を載せます。