２００８年に発掘された大手虎口石垣
秀吉の九州平定後に筑前へ入封した小早川隆景が築いた城
所在地
福岡県福岡市東区名島１丁目、名島城址公園
形状
平山城
現状・遺構等
【現状】 名島城址公園、名島神社、宅地等
【遺構等】 曲輪、櫓跡、石垣、移築門（福岡城址に名島門、崇福寺に唐門、宗生寺に搦手門）、石碑、説明板、遺構案内板
崇福寺：博多区千代４－７－７９、電話０９２－６５１－０３９８
宗生寺：宗像市大穂９３７、０９４０－３６－２５１４
満足度
★☆☆☆☆
訪城日
２０１２／１１／１４
歴史等
名島城は、天文年間（１５３２～５５）、大友氏の重臣・立花鑑載が立花山城の出城として築城したことが始まりとされる。
天正１５年（１５８７）、九州平定を果たした豊臣秀吉は、筑前１国、筑後２郡及び肥前の一部で５２万４，５００石を小早川隆景に与えた。
隆景は、城地の選定にあたり、海に近く水軍の本拠とできる城の築城を計画し、翌１６年（１５８８）２月から、この立花山城の出城であった名島城を大改修して居城とした。
築城後、秀吉による文禄・慶長の役（１５９２-９８）が始まり、隆景は多くの家臣を率いて、天正２０年（１５９２）に朝鮮へ出兵（唐入り）した。その間、名島城は唐入りの軍事拠点である名護屋城への軍事・生活物質や人材などの補給基地としての役割も担った。
帰国した隆景は文禄４年（１５９５）、養子とした小早川秀秋に家督を譲って三原城に戻り、名島城には秀秋が居城した。
慶長５年（１６００）関ヶ原合戦後の行賞で、秀秋は備前岡山城へ転封し、同年１２月、その後に黒田長政が豊前中津から筑前５２万石の太守となって入城した。
慶長７年（１６０２）、長政は福岡城を新たに築いて移り、名島城は廃城となった。その際、名島城から建造物や石垣が解体して運ばれたという（名島引け）。
『「日本城郭大系１８」、「現地説明板」他参照』
現況・登城記・感想等
名島城は、北・西・南の三方を海に囲まれた要害城であったようだが、城の北側と南側は埋め立てられてしまい、往時の面影はない。
名島城址公園として開放された本丸跡の北西隅の櫓跡から、眼下に博多湾を見下ろすことができるのが、僅かなりとも往時の姿を偲ぶよすがでしょうか。
また、近年の発掘調査により、本丸跡南東部の本丸への登り口付近に石垣（虎口？）の一部が出土され、見ることができる。
登城前は、何も残っていないと思っていたので、これだけでもめっけものというべきかも（*^_^*）。
尚、福岡城址に名島門、黒田家の菩提寺崇徳寺に唐門、宗生寺に搦手門が移築され現存している。
（２０１２／１１／１４登城して）
ギャラリー
名島城古城図（現案内板より） ～画面をクリックにて拡大画面に～
名島城は、東を除く三方を海に囲まれた平山城で、東西８４０ｍ、南北２８０～４００ｍの規模で、北に本丸、南に二の丸、三の丸を配し、海水を引き込んだ堀割と空堀で周囲を防御していた。 
名島城址公園案内図 （現地案内板より）
名島城址は、名島神社や住宅地となり、堀も含めて多くが埋もれてしまっているが、本丸跡は名島城址公園となり市民の憩いの広場になっている。 
本丸跡 
城址碑と小早川隆景顕彰碑
本丸跡南隅におは城址碑と小早川隆景入府４００年記念碑が建てられている。 
隅櫓跡
本丸北西隅には櫓跡がある。本丸の北西部分で出土し、礎石が見つかったほか、人為的な破壊で落とされた瓦片も多くあった。瓦片の下からは更に敷石も見つかり、櫓が建て替えられた可能性もある。 
本丸北側から立花山城を望む
本丸の北東方向には、立花氏の本拠の城である立花山城がよく見える。 
本丸登り口の石垣（虎口？）
名島城の遺構は、「名島引け」の伝承や近代以降の開発によって、当時の痕跡をとどめていないと長く信じられてきたが、平成２０年（２００８）の発掘調査により、本丸の南東側で虎口が見つかった。下段の石垣の横を通り、上段の石垣を正面に上がって登城したと推測されている。石垣には、白い花崗岩が使われ、野面積みで積まれていた。 
上段の石垣 
下段の石垣 
移築現存城門・名島門（福岡城址に） 
移築現存城門・唐門（黒田家の菩提寺崇徳寺に） 
