薩摩 市来鶴丸城(日置市)

シラス台地の浸食谷を利用した大空堀

南朝方に与して島津氏と幾度も戦った市来氏の城、後にザビエルが滞在した

読み方

いちきつるまるじょう

別名

市来城本城、鶴丸城

所在地

鹿児島県日置市東市来町長里
【アクセス】
日置市役所支所(旧東市来支所)の北にある東市来護国神社から登城する。神社の西にある日置市立東市来図書館に駐車場があるので、そこに車を停めて、神社(すぐ隣)へ向かい、登城するのが良い。
日置市役所支所:東市来町長里87-1 電話099-274-2111
日置市立東市来図書館:東市来町長里185、電話099-274-2111

所要時間

東市来図書館駐車場から約8分

形状

山城(標高106m)

現状・遺構等

【現状】 山林
【遺構等】 曲輪、空掘、堀切、土塁、礎石?、石碑、説明板

満足度

★★★☆☆

訪城日

2012/11/16

歴史等

市来鶴丸城の築城年代は定かでないが、13世紀初頭の市来家房が最初の城主といわれる。 南北朝時代の建武4年(延元2年、1337)には、南朝方に与した市来時家が市来鶴丸城に立て籠もり、北朝方の守護島津貞久の子川上頼久と戦ったという。そして、その後も、島津宗家との戦いが繰り返された。
しかし、寛正年間(1460~66)になると、市来家親は守護島津立久によって滅ぼされ、島津宗家の所領となった。
戦国時代になると、薩州家島津実久が占拠し、新納忠笛・島津忠房を守将としていたが、天文8年(1539)、島津相州家から戦国大名となった島津忠良・貴久父子が攻略し、伊集院忠朗が城を接収し、後に新納康久一族が守備した。 そして、16世紀末には、役目を終え廃城となった。
尚、天文19年(1550)6月、イエズス会の宣教師ザビエルが鹿児島から平戸へ向かう途中、この城に12日間滞在したという。 江戸時代には外城となって地頭が置かれた。
『「現地説明板」、「東市来図書館前説明板」、「日本城郭大系18」参照』

現況・登城記・感想等

市来鶴丸城のある東市来町長里は、周囲を山に囲まれている。それらの山には平之城・番屋城・大根城・貝吹城・古城などの曲輪群が築かれ、その中心に本丸としての鶴丸城(鹿児島の本城の別称「鶴丸城」と区別するため「市来鶴丸城」と呼ぶようにしている)を置き、全体を市来城と称している。
市来鶴丸城は、南九州特有のシラス台地の浸食谷を利用して築かれた山城で、南北約600m、東西約500m、周囲約3km、面積約20万㎡の規模を持つ。
神社境内から高い土塁に挟まれた虎口から入城し、数段の段曲輪、空堀、堀切を見ながら登って行くと、7~8分ほどで本丸に到着する。
本丸には、石碑が立ち、低いながらも周囲をめぐる土塁を確認することができ、本丸奥には、シラス台地の浸食谷を利用した深い、大規模な空堀もある。
また、建物礎石のような石や、門柱の土台のような石もあったが、往時のものか、神社の祠を取り去った跡なのかは分からなかった。
(2012/11/16登城して)

ギャラリー

市来城周辺史跡地図(東市来図書館前の説明板より)
市来鶴丸城のある東市来町長里は、周囲を山に囲まれている。それらの山には平之城・番屋城・大根城・貝吹城・古城などの曲輪群が築かれ、その中心に本丸としての鶴丸城(鹿児島の本城の別称「鶴丸城」と区別するため市来鶴丸城と呼ぶようにしている)を置き、全体を市来城と称している。
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市来鶴丸城鳥瞰図(現地説明板より)
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ザビエル像
東市来図書館に車を停めて、すぐ隣の東市来護国神社から登城口へ向かうとザビエル像に出逢う。また、その傍にも小さな2人の像が立っているがザビエルと市来鶴丸城の家老ミゲル(洗礼名)の像である。
鹿児島で布教していたザビエルの教えを聞いた市来鶴丸城の家老・ミゲル(洗礼名・日本名はイエズス会文書に記録されておらず不明)の案内で、ザビエルは当城を訪れた。城主新納康久はあつくもてなし、城内で布教することを許したという。

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登城口(虎口)
東市来護国神社の背後(北側)の山が鶴丸城跡である。神社から、北の方へ向かって歩いて行くと、高い土塁に挟まれた虎口があり、その向こうに「市来鶴丸城とザビエル」に関しての説明板が立っている。
鹿児島で布教していたザビエルの教えを聞いた市来鶴丸城の家老・ミゲル(洗礼名・日本名はイエズス会文書に記録されておらず不明)の案内で、ザビエルは当城を訪れた。城主新納康久は暑くもてなし、城内で布教することを許したという。

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枡形
虎口を入って行くと、そこが枡形になっていることが分かる。当時の山城としては、かなり大規模な枡形といえるのではないだろうか。
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登城道
登城道は、遊歩道としてよく整備されている。本丸目指して登って行く。左手には数段の段曲輪が設けられている。
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堀切
登城道の途中には、幾つかの空堀や堀切が現れる。
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本丸
登城口から7~8分ほどで本丸に到着する。本丸には、城址碑が建てられている。
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土塁
本丸周囲の多くに、低いながらも土塁が確認できる。
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大空堀
本丸の奥の方へ走入って行くと、南九州特有のシラス台地の浸食谷を利用した大規模な空堀が現れる。
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礎石?
本丸跡には、建物礎石のような石や、門柱の土台のような石もあった。この写真以外にも、長方形に並んだ石が転がっていたので、往時のものかとも思ったが、やはり神社の祠の跡でしょうか?
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門柱土台?
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大根城跡を望む
市来鶴丸城の北には大根城がある。当写真は東市来図書館前から撮ったもの。
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平之城など
同じく、図書館前から西方面を撮ったものである。西の方には、南平之城・平之城・番屋城などの山が見える。
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