旧市街をめぐる城壁の上にて(奥にニューゲートが)
イギリス国内で最良の状態で残る城郭都市の一つで、中世の面影がよく残る
英語名
Chester
所在地
Chester Castle : Chester CH1 2DN England
形状
城郭都市
歴史等
チェスターは、西暦79年頃、当時ブリテン島を支配していたローマ人がウェールズとの戦争に備えて要塞を建設し、定住したことにはじまる。
400年頃に、ローマ人が撤退したのちには、アングロ・サクソン人が移住し、デーン人(ヴァイキング)の侵入を防ぐために城壁を拡張し、要塞都市を形成した。
11世紀になると、イングランド全土を支配したノルマン人が居住した。そして、1120年頃にはノルマン人によりさらに城壁が拡張され、街の四方を完全に城壁が囲むようになった。
その後、チェスターは貿易の中継地点として栄えたが、17世紀にリヴァプールが交易都市として力を伸ばすようになると、徐々に衰退していった。
17世紀後半にはチャールズ1世の国王軍とオリバー・クロムウェル率いる議会軍が争い、国王側が敗れた清教徒革命の際に、国王軍の最後の拠点となり大きな損害を受けた。
しかし、18世紀初頭には市民が歩けるように城壁が改築され、さらには街の大半も再建され、産業革命時には近郊のマンチェスターやリヴァプールから富裕層が流入し、現在では美しい街並みと歴史が共存する街として高い人気を誇っている。
『「現地購入パンフレット」、「ウィキペディア」他より』
現況・登城記・感想等
チェスターは、イギリス国内では最良の状態で現存する城郭都市の一つで、一城郭としても、中世の面影が色濃く残る街としても見応えがあります。
旧市街の周囲には全長3.2kmの城壁が良好に残り、その幾つもの箇所に門や塔が残っています。
そして、旧市街の南端にはチェスター城が残り、一部が美術館や裁判所などに使用されています。
イーストゲートとウォーターゲート、ノースゲートとブリッジゲートを結ぶ2つのメインストリートが交叉する「ザ・クロス」と呼ばれるところが街の中心になりますが、そこから四方に延びる道の両側に建ち並ぶ建物は、15世紀から17世紀初頭に建てられたチューダー様式と呼ばれる建物で、白い壁に黒い梁、そして様々な模様の美しい装飾、鋭く尖った屋根の建物が街を彩ります。
その中で特徴的なのが、二階が全てバルコニーになり隣同士が繋がって回廊状の歩道を持つ建物で、それらは「ロウズ」と呼ばれる商店街になっています。
他にも見どころとしては、チェスター大聖堂や、城壁の南東外側にはローマ円形競技場やザ・ローマン・ガーデンなどもあります。
このように見どころ満載のチェスターですが、パック旅行の身の上の私は、あまりにも自由時間が少なくて、チェスター城をはじめ多くを見落とす残念無念なチェスター訪問になってしまいました(;>_<;)。
尚、2時間ほどの自由時間があれば、城郭の上を歩いて1周することをお薦めします。そうすれば、少なくとも城郭に関する遺構はほとんど網羅できるでしょう。
(2014/07/22訪れて)
ギャラリー
チェスター案内地図(現地購入パンフレットより)
英国内には「マンチェスター」「コルチェスター」など、「-チェスター」と付けられた地名が複数みられるが、チェスターの語源は「カストラ(castra)」で、陣地や砦」を意味するラテン語からきています。その名の通り「チェスター」は、旧市街周囲を城壁に囲まれた城郭都市で、城壁には東のイーストゲート、西のウォーターゲート、北のノースゲート、南のブリッジゲートの4つの城門があります。そして、それぞれの城門からメインストリートが延び、それらが交叉するのが「ザ・クロス」といわれる街の中心で、ここから東西南北に「ロウズ」と呼ばれるチェスター独特の商店街が延びています。
【城壁】
チェスターの城壁は、西暦79年頃ローマ人がウェールズからの侵略に備えて要塞を築いた時に、木製で造られたのが起源で、その後、100年ごろには砂岩で増築された。そして、ノルマン征服後に西と南にその城壁が延長され、1120年頃に、現在のように約3.2kmに渡る城壁が旧市街を囲むようになったと言われています。
(東側の城壁とニューゲート)
城壁の上は歩くことができ、1時間ほどで1周できるようです。但し、城壁の周辺には城門、塔、チェスター城、ローマ円形劇場、ローマン・ガーデンズ等々見どころも多いので、2時間ほど欲しいところです。
(ウォーターゲートの北側の城壁)
当写真は城外側から撮ったものですが、砂岩でしょうか。レンガのような赤い色が特徴的です。
【城門】
元々、旧市街を囲む城壁に設けられた城門は、イーストゲート、ウォーターゲート、ノースゲート、ブリッジゲートの4基であったようですが、1938年にはニューゲートがオープンされました。その後、また、幾つかの旧市街への出入口ができているようです。
(イースゲート時計台① )
イーストゲート時計台は、チェスターの歴史地区を囲む城壁に設置された4つの門のうち、東に位置するイーストゲートに、ヴィクトリア女王即位60年を記念して1897年に造られた時計台で、今ではチェスターのシンボル的存在です。時計盤の真上の「VR」の言葉は「Victoria Regine」からきています。
(イーストゲート時計台②)
時計は、一際、目を引く真紅と緑ですが、クラシカルな色彩で存在感があります。街の象徴的存在になっているというのも頷けますね。
(ニューゲート)
ニューゲートは、イーストゲートから200mほど南にある城門です。1930年代になると、市内の交通渋滞がひどくなってきました。それを緩和するために幅の広い門が必要となり、ウォルター·タッパーと息子マイケルの設計で、1938年に赤い砂岩のアーチ橋「ニューゲート」が完成したそうです。
(ウォーターゲート)
ウォーターゲートは旧市街の西側城壁にありますが、説明板などもなく、由来等については分かりません。
(ノースゲート)
時間が無くて近くまで行くことがせきませんでしたので、大聖堂前からズームアップして撮りました(/。ヽ)。
【ザ・クロス周辺の家並み】
ザ・クロスから四方に延びる道の両側に建ち並ぶ建物は、15世紀から17世紀初頭に建てられたチューダー様式と呼ばれる建物で、白い壁に黒い梁、そして様々な模様の美しい装飾、鋭く尖った屋根の建物が街を彩ります。
その中で特徴的なのが、二階が全てバルコニーになり隣同士が繋がって回廊状の歩道を持つ建物で、それらは「ロウズ」と呼ばれる商店街になっています。
(イーストゲートの上からイーストゲート・ストリート及びウォーターゲート・ストリートを)
(ザ・クロスからイーストゲート・ストリートを)
(ザ・クロスからブリッジ・ストリートを)
左建物の2階部分がロウズです。
(ロウズへ向かいます)
(ロウズ)
まだ朝早くて、開店前なので閑散としています。
【その他】
(チェスター大聖堂)
伝説によると2000年近くもの歴史を持つともいわれているが、今ある建物は、11世紀ごろにつくられたロマネスク様式の修道院が、幾度もの増改築を経て、複数の様式が混在するようになったものです。
(チェスター・タウンホール)~市庁舎~
19世紀にイギリスを発祥とするゴシック建築の復興運動の中で、1869年に建てられたもので、ヴェネツィアのゴシック建築をリバイバルしたラスキニアン・ヴェネツィアン・ゴシック様式です。
(ローマ円形競技場)
当写真はニューゲートの上から撮ったものですが、ここも時間がなくて見学できませんでした(/。ヽ)。闘鶏や格闘技など様々な催しや、軍の訓練が行われたところで、この時代の円形競技場としては英国最大の規模ですが、現在発掘されているのは約半分で、残りは建物の下に埋もれているのだそうです。