水堀越しにルンダーレ宮殿東棟を望む
ロシアの女帝アンナに愛され貧しい貴族からクールランド大公にまで昇格したビロン公の夏の宮殿
ラトビア語名
Rundāles Pils
所在地
Pilsrundāle, Rundāles novads, LV-3921 Latvija
現状
ルンダーレ宮殿博物館(Rundāles Pils Muzejs)
歴史等
ルンダーレ宮殿は、ロシアの女帝アンナ・イヴァノヴナ(1693-1740)に愛され、貧しい貴族からクールランド大公にまで昇格したビロン公(E. J. Biron)の夏の宮殿として建てられました。
建築家はサンクト・ペテルブルクの冬宮などを手がけたイタリア人のラストゥレリ(F. B. Rastrelli)です。
宮殿建設は1736年に始められ、延べ1500人の職人が加わりました。壁画はふたりのイタリア人画家が、装飾はドイツ人彫刻家がおもに担当し、途中女帝が死亡してビロン公がシベリア流刑になるなど曲折もありましたが、1768年に完成しました。
『地球の歩き方・バルトの国々より抜粋』
現況・登城記・感想等
ルンダーレ宮殿は、「バルトのヴェルサイユ」ともいわれる、バロック様式の華麗な宮殿で、内部もロココ調の装飾で埋まった贅を尽くしたものとなっています。また、宮殿の南側に広がるフランス庭園も綺麗です。
ただ、「宮殿形式」の城郭は、どちらかというと好みではありません。
また「フランス式庭園」も、あまりにも整いすぎていて好きではありません。何しろ、私にはフランス庭園はどれも同じにしか見えないのです(汗)。
バウスカ方面へ行くのなら、どちらかというと「バウスカ城」を訪れたかったです(;>_<;)。
とはいえ、保存修復が進み、公開されている2階部分の各部屋は確かに豪華で見応えがあり、写真を撮りまくりましたがネ(苦笑)。
(2015/06/20登城して)
ギャラリー
ルンダーレ宮殿全体絵図
中央の豪華な宮殿建物の南側には広大なフランス式庭園、北側に前庭を配置し、その周囲を水堀が取り囲んでいます。
ルンダーレ宮殿2階部分間取り図
宮殿内部は、修復が進んだ2階部分が公開されています。宮廷の儀式が行なわれた東棟、クールランド公の住居及び執務の場であった南棟、公の家族が住んだ西棟に分かれています。
前庭への入口
ルンダーレ宮殿の周囲をめぐる水堀に架かる橋を渡って宮殿へ向かいます。
水堀
水堀は、それほど広くなく、3~4mほどです。
前庭へ
橋を渡って前庭へ向かいます。
前庭
前庭とはいえ、広場といった感じで何もありません。そして正面に宮殿が見えます。色彩が上品でいいですね。
宮殿正門
正門右側の建物上にはコウノトリが巣を作っていました。
正門脇右側の建物上のコウノトリの巣
当写真は対面の白の間から撮ったものです。
コウノトリの巣をズームアップ
宮殿正面を
正門から入ると、内庭を取り囲むようにコの字型に構えた宮殿が現れます。前庭もそうですが、この内庭も何もなく殺風景です。
宮殿南棟から振り返って内庭を
写真左上にコウノトリの巣が見えます。
【宮殿内】
宮殿内部はロココ調の装飾で埋まった贅を尽くしたものとなっています。尚、宮殿内の見学ルートは公夫人の部屋の部分を含まない短いルートと、含まれた長いルートがあります。我々は、短いルートです。
宮殿内写真撮影許可シール
宮殿内の撮影には、入場料以外に撮影許可のためのシール(確か2ユーロでした)を購入し、見える位置にシールを貼ります。
黄金の広間
入場券をゲットして最初に訪れる部屋は黄金の間です。黄金の広間は公の戴冠式が行われた宮殿で最も豪華な広間で天井画が美しいです。金箔の漆喰彫刻はプロイセンの彫刻家J.M.グラフが手がけました。知恵・力・正義などのテーマを寓話的に描いた天井画は、イタリア人バロック画家F.マルティーニとC.ツッキによるものです。
グランドギャラリー
長さ30mほどのグランドギャラリーを進んで白の間へ向かいます。グランドギャラリーは、壁から天井にかけて絵画が一面に描かれています。
白の広間
白の広間は舞踏会が行なわれた広間です。白一色の内装は女性の美しいドレスを引き立てる効果があったそうです。J.M.グラフのロココ様式の漆喰彫刻は、農村風景や動物神話などを写し出しています。
楕円形の磁器の間
白の間を抜けると磁器の間で、壁一面に45の台にピラミッド型に東洋の陶磁器が並べられていますが、「滝」をイメージしたのもです。日本の陶磁器もありました。
薔薇の間
磁器の間を観たあと、再び、白の広間と黄金の間を通り、南棟へ向かいます。南棟で最初に訪れるのは薔薇の間です。ピンクの人工大理石の壁画に21の花飾りが添えられた美しい部屋です。
薔薇の間の天井画
薔薇の間の天井画は春の女神たちを描いたものです。
公の寝室
公の寝室は、宮殿の中心に位置する最も重要な部屋で、2対のタイルストーブは1740年の製造です。左の壁面にはビロン公と妻ベニグナの肖像画がかけられています。また、床の寄せ木細工が見事です。
公の謁見室
寝室の隣にある、濃いピンクの壁が印象的な部屋で、別名「赤の書斎」。ピンクの壁はシルクだそうです
大理石の広間
食堂として使われた広間だそうで、壁面を覆う人工大理石からその名が取られました。
【フランス庭園】
我々のツアーのコースには庭園見学がなかったので、公の寝室や大理石の広間から写真を撮りました。私は、このフランス式庭園は美しいとは思いますが、あまりにも整いすぎてどうも苦手です。今まで訪れた先でも多くのフランス式庭園を観ましたが、どれも同じにしか見えません( ̄ー ̄;。
【水堀】
ルンダーレ宮殿の周囲には水堀がめぐっています。浅い上に、幅も狭くて、城の防御ができるようなものではなく見応えももう一つですが、それでも、私は宮殿内部よりこちらの方が興味があります。
東棟の東側の水堀
東棟の東側の水堀越しに宮殿(東棟)を
北東隅の水堀
北東隅から宮殿入口の橋に延びる水堀