３郭東隅の城址碑
太田道灌が本格的築城、やがて後北条氏の支配下となり大改修がされた
所在地
神奈川県藤沢市大庭町６３２３、６３２４ 大庭城址公園
大庭城址管理事務所：ＴＥＬ０４６６－８７－９５００
形状
平山城（標高４２．８ｍ）
現状・遺構
【現状】大庭城址公園
【遺構等】曲輪、土塁、空堀、石碑（２箇所）、説明板
満足度
★★★☆☆
訪城日
２００８／０１／０５
歴史等
大庭地区は、平安時代の後期（１２世紀頃）、桓武平氏の流れを鎌倉権五郎景政が、大庭を中心とした広大な所領を開発し、伊勢神宮に寄進した。この土地が大庭御厨である。
大庭城は、景政の子孫がのちに大庭姓を名乗り、源平合戦で有名な大庭三郎景観が居城したのが始まりと言われるが、明らかな記録はなく、室町時代中頃（１５世紀後半）になって、扇谷上杉定正の執事太田道灌が、本格的な築城を行ったと伝えられている。
その後、永正９年（１５１２）、北条早雲に攻められて落城し、以後、後北条氏の支配下に入った。
そして、天正１５年（１５８７）後北条氏が豊臣秀吉に滅ぼされ、大庭城は廃城になったようである。
城は土塁と空堀によって南北に連なる４つの曲輪に大きく区分され、南端部が主郭であったと考えられている。
現在、城址に残る土塁や空堀は、その規模や遺構の形態から後北条氏によって改修されたものと考えられる。
『「大庭城址公園管理事務所内展示物」、「大庭城址２郭説明板」より』
現況・登城記・感想等
大庭城址は城址公園として整備され、かなり改変されているようですが、土塁や空堀等々を始めとしてかなり遺構が良好に残っています。
中でも、２郭と３郭間、及び３郭と４郭間（４郭東側）の大規模な空堀はなかなか見応えがあります。
また、登城前に想像していたよりも、規模も遥かに大きいのも意外でした。
東京のベッドタウン藤沢市の住宅地にありながら、これだけの遺構が残っているとは本当に驚きだし、 これからもしっかり守ってもらえると嬉しいですね（*^_^*）。
（2008/01/05登城して）
ギャラリー
神奈川県内と近隣の中世の城（大庭城址公園管理事務所内展示より）
中世には、小規模ながら近世とは比較にならないほど多くの城が存在しており、神奈川県内でも少なくとも大小２００以上の中世の城や館の存在が知られている。 
大庭城址縄張図（大庭城址公園管理事務所内展示より）
大庭城は、かつては南北８００ｍ、東西２５０ｍ台地の全域を城域としていたが、１９７０年代に台地の北側が宅地化されたため、現在は南部の４５０ｍほどが城址公園として名残をとどめている。
現在残る大庭城址は土塁と空堀によって南北に連なる４つの曲輪に大きく区分された典型的な連郭式平山城で、南端部が主郭であると考えられる。
（大庭城址公園管理事務所内展示ほか参照） 
登城口＆登城道
大庭城址へは、ナビで公園管理事務所の電話番号を指定すると、かなり広い公園駐車場へと着きました。管理事務所内には、大庭城等に関する資料が結構展示されているので、まずこれらを見てから登城すると良いと思います。公園管理事務所前が公園への登城口になっていますが、この辺りは公園として完全に改変されています。尚、登城口は、この他に公園の南端や東側にもあるようです。 
３の郭
駐車場から登城道を登って行くと、３の郭跡へ出ます。３の郭はかなり広く２段になっていますが、この辺りは公園築造時にかなり改変されているであろうと思われます。また、周囲の多くの部分が土塁で囲まれています。 
３の郭の東隅に建つ城址碑
３の郭の東隅に城址碑が建てられている。背後には３の郭と２の郭を断つ空堀が見える。 
３の郭東側の土塁と空堀 ～土塁～
３の郭の東側にはクランク状の大規模な土塁と空堀が設けられ、南側の土塁と空堀は２の郭とを区画している。 
３の郭東側の土塁と空堀 
３の郭東側の空堀 
３の郭と２の郭の間の空堀
当空堀は３の郭の東側の空堀（上写真）が南へ延びてクランク状に西側へ曲がり、２の郭とを区画するように築かれているものですが、なかなか見応えのある大規模なものです。 
３の郭と２の郭の間の堀切（西側部分）
往時は上写真の空堀に繋がっていたのでしょうが、この辺りは公園築造時にかなり埋められたのでしょう。それでも充分堀跡であることがよく分かります。 
２の郭
２の郭跡には遊具が設置されており、市民親子の憩いの広場になり、今日も多くの親子連れを見掛けました。 
２の郭西側の土塁
２の郭の西側の土塁も良好に残されています。 
２の郭と１の郭（主郭）間の堀切
堀切の左側が１の郭（主郭）で右側が２の郭です。この堀切は往時よりかなり埋まってしまっているようです。 
１の郭（主郭）
１の郭（主郭）跡には、高床建築の柱穴（掘立柱建物跡）の配列が示されている。実際の柱穴は現地表下５０ｃｍに保存されている。また、この郭が大庭城の中で、どのような役割を果たしたのかは、今後の発掘調査を待たなければ分からない。（主郭説明板より） 
掘立柱建物跡の平面表示 
１の郭（主郭）跡に建つ城跡碑
城址碑は３の郭跡の新しい石碑の他に、１の郭（主郭）跡にも建てられています。こちらはかなり古くて大庭城址に関する説明も彫られているが何とか読める状態です。 
１の郭跡に残る井戸？
１の郭跡には、往時のものと思えるような古井戸が残っているが、説明が全く無くよく分かりません。 
１の郭（主郭）下の腰曲輪
１の郭（主郭）下から２郭下にかけて、かなり長い腰曲輪（帯曲輪）が設けられています。 
１の郭（主郭）と南端の小郭間の堀切 
４の郭
３の郭～２の郭～１の郭～最南端部の小郭を見て廻ったあと、再び北の方へ戻り、４の郭へ・・・。４の郭は本当にだだっ広い芝生広場になっている。往時は、この郭のさらに北側も城域だったそうですが、今では開発されて宅地化されてしまっています。 
４の郭からの眺望
４の郭の真下には住宅が密集しており、ここが平山城址であることを思い起こさせてくれる。 
