下総 福星寺館(四街道市)

北西部の大空堀

在地領主吉岡氏一族の館?

所在地

千葉県四街道市吉岡898、福星寺
【行き方】
国道51号線(佐倉街道)の吉岡十字路を南東へ700~800m進むと左手に福星寺の案内板があるので、そこを入った正面に山門が見える。 案内板から入ってすぐのところの消防自動車の車庫の前に駐車スペースがある。

形状

館(平山城)

現状・遺構等

現状:福星寺(ふくしょうじ)
遺構等:曲輪、土塁、空堀、土橋?、虎口、櫓台、説明板

満足度

★★☆☆☆

訪城日

2009/10/22

歴史等

福星寺館(ふくしょうじやかた)の中世の文献史料は存在しないが、江戸初期成立の千葉氏の記録「千学集抜粋」には、天文19年 (1550)に行なわれた妙見宮(本佐倉城内か?)の遷宮の際、大旦那千葉親胤の参詣に従った「臼井の一門」等の氏族・家臣の中に、 四街道地域の山梨・蕨・吉岡が挙げられている。
16世紀後半の当地域は、原氏の生実城臼井城を結ぶ重要な位置にあったと見られる。
曲輪内の福星寺は、元和2年(1616)の開基とされ、廃城後に建てられたものである。
木出城と共に、16世紀代に原氏の権力体系に取り込まれたであろう在地領主吉岡氏一族が築いたものであろう。両城主の関係は、 或いは同一氏族内の有力二派であろうか。
『図説房総の城郭・千葉城郭研究会編(国書刊行会刊)」より』

現況・登城記・感想等

樹齢390年を数える枝垂れ桜で有名な福星寺が館跡である。
非常に良好な遺構を残す中世の城跡であるが、その歴史は全く分かっておらず、その正式な名称さえ分かっていないという。
福星寺も建立されたのは近世に入ってからで、その以前はどう呼ばれていたのかも分からないのが、寺の山門脇に設置された説明板にあるように、 ここでは仮称「福星寺館」とする。
寺の山門両脇に3m以上の立派な土塁があるが、この土塁は当時は繋がっていたようで、少し東側の土塁の切れ目部が虎口だったようで、 その虎口前の空堀に土橋が架かっている。
境内を取り囲む土塁と空堀は規模は実に大きく、土塁の高さは3~4mあるだろう。空堀はさらに立派で、深さは7~8m、 上部幅は20m近くあるだろう。
実に見応えのある遺構がほとんど手付かずの状態で残されているが、堀底は荒れた竹薮となり、歩いて廻るのが困難なのが残念だ。 多少なりとも整備されたら見事だろう!
(2009/10/22登城して)

ギャラリー

曲輪外にも土塁が
車を停めて、福星寺へ向かうと、両側に土塁跡を確認。この辺り、すでに城域だったのだろう。

福星寺山門と土塁
山門の両側に高い土塁があり、その手前に空堀が見えてくるが、この土塁は往時は繋がっていたようで、 ここが虎口ではなかったようだ。

山門東側の土塁
土塁の高さは3mほどある。階段を登って行くと、羽黒山月山神社の石塔がいっぱいたっていた。

福星寺と枝垂桜
境内には2本の立派な枝垂桜が聳えている。目通り周囲3.3m、樹高14m、樹齢約390年である。 満開の頃に来たらさぞや綺麗なことだろう。
元和元年(1615)に、家康が東金に鷹狩に来た時に、福星寺の親寺である金光院に立ち寄り、本堂前の枝垂桜を見て絶賛し、 しばしの間手をかけていたという。それから「お手かけの桜」と呼ぶようになった。この事から、縁起をかついで、元和2年(1616) 4月に福星寺が創建された時に、金光院の枝垂桜を株分けして頂き、この福星寺に植えられたと伝えられる。

南側の土塁と虎口
山門の少し東側に虎口(写真左)がある。正面の土塁は2段上の土塁と同じ。

土橋
虎口から出て行くと、空堀に土橋が架かっている。その向こうは一般の方の住居のようだが、 何らかの曲輪があったのではと思うが・・・?

東側の虎口?
東側にも虎口跡らしき土塁の切れ目があった。ここから細い道が奥へと続いている。

北東部の土塁
曲輪周囲を取り囲む土塁は、よく残り、この辺りは3m以上あるようだった。ここで、 苦手な蛇と二匹も出会ってしまった(汗)。

本堂裏(北)の土塁

空堀底を見下ろす
曲輪の西側から堀底を見下ろすと、その深さに驚いた。

西側の空堀
最初に上から堀底を見下ろした時には、とても降りてはいけないと思ったが、 よく探すと何とか降りていけそうなところを見つけ降りた。大変な藪になっているが、幾つもの折があり、なかなかかっこいい空堀だ。しかし、 あまりにも竹が密集している上に、枯れて倒れている竹も多く、暗くて、写真では、その素晴らしさが分かり辛いかも?

空堀底から土塁上を見上げる
堀底から、土塁上を撮ったが、あまりの暗さで、こんな写真になってしまったが、矢印下の人間(家内) を見れば、その深さが分かって戴けるだろう。ゆうに深さ7~8mはあるだろう。

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