甲斐 笹尾塁(北杜市)

一郭南西部の土塁

対諏訪氏防衛の重要拠点

別名

笹尾砦、篠尾要害

所在地

山梨県北杜市小淵沢町下笹尾754-1、城山公園
【行き方】
小淵沢駅の南方600mを走る県道17号(七里岩ライン)を2km程南西へ向かい、篠尾郵便局の150m程手前の十字路(角の公民館? に案内図有り)を右折する。1km程南下すると右手に「城山公園への案内」がある。それに従い、 斜め右へ曲がり300m程直進すると広い駐車場へ出る。駐車場は三郭跡である。

形状

崖端城(丘城)

現状・遺構等

現状:城山公園
遺構等:曲輪、土塁、虎口、堀切、空堀、土橋、説明板

満足度

★★★☆☆

訪城日

2009/06/07

歴史等

笹尾砦が史実に登場するのは、諏訪市の上宮「当社神幸記」の享禄4年(1531)の頃の記述に、「武田、 諏訪両氏の対立に享禄4年1月22日、笹尾砦が使われた」とあるのが最初である。
岩尾砦は、諏訪氏と対立していた諏訪下社大祝金刺昌春が、享禄年間(1528~32)に、甲斐の武田信虎を頼って落ち延び、 武田氏と結んで築城したようである。
その後、笹尾砦は、武田信虎が諏訪勢に対抗しつつ国内統一を果たす上で重要な拠点となった。
天正10年(1582)に織田信長軍の侵攻によって武田氏が滅亡し、信長配下の河尻秀隆が甲府に入ったが、 本能寺の変で織田信長が死去すると甲斐国内に一揆が起こり、河尻秀隆は殺害された。
その後の武田氏遺領を巡り、徳川家康と北条氏直が戦った(天正壬午の乱)際、氏直は若神子城を本陣とし、 家康は新府城を本陣とした。 この時、笹尾砦も北条方の陣所として使用されたと言われる。
そして、獅子吼城の攻防を経て、 徳川氏と北条氏の和議成立により甲斐は徳川領となり、この笹尾砦も廃城となったと思われる。
『現地説明板他参照』

現況・登城記・感想等

笹尾塁は、北から南へと伸びた舌状台地を何本かの堀切によって分断して曲輪を設けられた典型的な連郭式城郭である。
規模は、東西80m、南北260mと小ぶりで、「塁」とか「砦」という控えめな名前が付いてはいるが、 なかなかどうして東西南の三方を急崖に守られた天然の要害地にある立派な城郭である。
現在、笹尾塁跡は城山公園となり、中央部の三郭と四郭は駐車場になっているが、その南にある一郭、二郭が綺麗に整備されている。
一郭、二郭には鉤型に折れ曲がる見事な土塁や鋭い屈曲を伴う枡形などもあり、二郭の北側には空堀も残る。また、一郭と二郭間には堀切(虎口? )も確認できる。
北部の五郭と六郭は雑木林や畑地になっているが、その間の堀切は良好に残っている。
(2009/06/07登城して)

ギャラリー

縄張略図(現地説明板より)

三郭・四郭
三郭と四郭跡は駐車場となっている。左側の雑木林は五郭。

二郭への土橋
二郭北側には空堀(写真左側)があり、土橋を渡る。右側は急崖になっている。 入口には高圧電流の流れるワイヤーが張られており、プラスチックの取っ手を持って外して入っていくが、 何とも簡単な装置で高圧電流が流れているとは思えなかったが・・・?正面説明板が設置されている土塁上が二郭。空堀は、 藪で写真にすると全く分からない状態だったので省略。

二郭
二郭は周囲を土塁が取り囲んでいる。土塁に、僅かではあるが石積みが確認できたが、 土塁を堅固にするための内部の石が露出したものだろうか?二郭南東部(写真右手前) には展望台が建てられていたが、写真は省略。展望台の床下に、どういうわけか説明板が捨てられていたが、その説明板が、 公園内の他に幾つか建てられている説明板よりも城の歴史が詳細に書かれていた・・・?
 

一郭と二郭間の堀切
一郭と二郭の各西側の土塁を断ち切ったもので、堀切というよりも虎口といった方が正解かも。往時は、 両側土塁上には、何らかの建物があったことだろう。

一郭
一郭は、郭を取り囲むように北西部から南西部にかけて土塁(写真右側)が築かれている。 土塁の高さは2mはある立派なもので、かっこいい。

一郭西側の土塁
㊧南部分、㊨北部分
一郭の西側崖上に郭を取り囲むように大きく屈曲した土塁は、防衛上に有効なのは勿論、 ビジュアル的にもかっこよい。南北両端部はやや広く、櫓が建てられていたことであろう。
 

五郭
五郭は雑木林になっているが、東側のワイヤー横を通って六郭へと・・・。でも、このワイヤー、 本当に高圧電流が通っているのだろうか??
 

五郭と六郭間の堀切
駐車場の北側部分では、唯一良好に(分かりやすく)残っている遺構だ。写真奥が六郭。

六郭(㊧南から北方面、㊨北から南方面)
六郭は畑地となり、南と西側が土塁になっているが、かなり手が加えられているのだろうか? 北側の堀切跡は道路に??
 

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