北城と南城を断ち切る南城北端の堀切
江北の京極氏・浅井氏と江南の六角氏の境目の城として攻防が繰り返される
所在地
滋賀県米原市米原
【アクセス】
太尾山城へは西麓の青岸寺~北城~南城~湯谷神社の遊歩道がある。
青岸寺に駐車場があり、湯谷神社にも駐車スペースがある。青岸寺と湯谷神社は、それほど離れていない。
青岸寺:米原市米原669、0749-52-0463
形状
山城(北城:標高254.3m、南城:標高242.4m)
現状・遺構等
現状:山林
遺構等:曲輪、土塁、堀切、説明板、遺構説明板
満足度
★★☆☆☆
訪城日
2010/12/04
歴史等
太尾山城は、在地の土豪米原氏によって築かれた伝えられているが、その詳細は定かではない。
「妙意物語」によると、戦国時代の文明3年(1471)に美濃守護代斉藤妙椿(みょうちん)が近江に侵入し「米原山」
で合戦が行なわれたことが記されているが、この「米原山」が「太尾山」とみられている。
その後、永禄年間(1558~70)にかけて太尾山城は江北の京極氏・浅井氏と江南の六角氏の境目の城として、佐和山城や鎌刃城、
菖蒲嶽城、磯山城、朝妻城などと共に攻防戦が繰り返された。
永禄4年(1561)には浅井長政によって攻略され、長政は浅井郡の土豪中嶋宗左衛門を城番に入れ置いたが、元亀2年(1571)
に織田信長によって佐和山城が攻められると宗左衛門も太尾山城から退き、
以後廃城となった。
『「現地説明板」、「近江の山城 ベスト50を歩く・中井均編(サンライズ出版刊)」等参照』
現況・登城記・感想等
太尾山城は琵琶湖東岸に築かれた山城で、北・南側のピークを中心に普請された北城・南城からなる「別城一郭」構造で、
共に尾根上に曲輪や土塁、堀切を階段状に並べている。
太尾山城へは西麓の青岸寺~北城~南城~湯谷神社の遊歩道がある。但し、この山は松茸山のため、
9月15日から11月20日の間は入山禁止なので要注意!
太尾山は比高差はそれほどないが、かなりの急斜面を登ることになる。また、想定していたよりも、ずっと時間が掛かり夕方になってしまい、
焦って下城した(汗)。
遺構としては、土塁や堀切等に見るべきものが幾つかあるが、それほど規模も大きくなく、鎌刃城を登城した直後ということもあり、
あまり見応えを感じなかった。
(2010/12/04登城して)
ギャラリー
太尾山散策コース(現地説明板より)
太尾山城へは西麓の青岸寺~北城~南城~湯谷神社の遊歩道がある。私は、青岸寺の北側から登って、
湯谷神社へ降りてきた。それほどゆっくり廻ったわけではないが、つごう1時間15分掛かった。但し、この山は松茸山のため、
9月15日から11月20日の間は入山禁止なので要注意!
縄張略図(現地説明板より) ~クリックにて拡大画面に~
太尾山城は琵琶湖東岸に築かれた山城で、北・南側のピークを中心に普請された北城・南城からなる「別城一郭」
構造で、共に尾根上に曲輪や土塁、堀切を階段状に並べている。
盗人岩
急峻な坂道を登ってくること20分ほどで、この盗人岩へたどり着いた。説明板によると「その昔、
盗人がこの岩陰に隠れ住んで村人を脅かしたという言い伝えがある」とあったが、こんな所までわざわざ村人が来たのか疑問だ(笑)。
それは兎も角、ここから琵琶湖を見下ろす眺望は素晴らしい。
北城の北側下に独立している曲輪
盗人岩から2分ほど進むと、右手に土塁で囲まれた曲輪がある。
この曲輪からは敷地全域を総柱とした礎石建物が検出されており、櫓もしくは倉庫であったと考えられるそうだ。
北城南下の腰曲輪から北城主郭を
北城主郭の東下を廻りこむように歩いてくると北城南下の腰曲輪へ出る。ここまで、
登りはじめてからおおよそ25分。予想していたより、ずっと時間が掛かったので、道を間違えたかと心配したが、一安心(笑)。
写真奥の土塁上が北城主郭である。
北城主郭
北城主郭の北側から東にかけては高さ2~3mほどの土塁が残っている。
北城南端の堀切
北城は主郭(含腰曲輪がと3段の曲輪からなり、堀切も設けられているが、あまり深くない。その中で、
この南端部の堀切は、割り合い明瞭に残っている。
南城の北端の堀切
南城の北端には、北城と断ち切るように、かなり大規模な堀切が設けられている。この堀切が、
この城跡で最大の見どころだろう。
竪堀
上写真の堀切は、両側とも竪堀となって山裾まで落ちていっている。ただ、竪堀の写真は難しく、
この写真で分かるかどうか(苦笑)。
南城主郭の土塁
南城は、方形の主郭を中心に尾根筋を階段状に削平して曲輪を配している。
主郭の中心に設けられた方形の土壇上からは、2間×3間の礎石建物が検出され櫓台だったようだ。また、
主郭からは4間×4間以上の礎石建物が検出された。南城は、写真の土塁以外にも、良好に残る土塁が散見され、木々の間からの眺望も結構良い。