磐城 棚倉城(棚倉町)

本丸周囲をめぐる水堀(内堀)

築城の名手丹羽長重が築いた土塁の近世城郭

別名

亀ケ城

所在地

福島県東白川郡棚倉町大字棚倉字城跡26-2、亀ケ城公園

形状

平城

現状・遺構等

【現状】亀ケ城公園、市街地
【遺構等】曲輪、土塁、水堀、、石垣、石碑、説明板

満足度

★★★☆☆

訪城日

2007/07/28

歴史等

慶長5年の関ヶ原合戦で西軍に与した立花宗茂が、柳河13万2千石を没収となり、慶長8年(1603)1万石を与えられて棚倉藩を立藩し赤館に入城した。その後宗茂は、元和6年(1620)旧領柳河へ復帰し、そのあとへ元和8年(1622)丹羽長重が常陸古渡から5万石を領して棚倉に入封した。
長重は、当初赤館に入城したが、2代将軍徳川秀忠の命により、寛永2年(1625)より新城(棚倉城)の築城をはじめた。
寛永4年(1627)長重は白河へ移され、その後は、内藤氏、太田氏、(越智)松平氏、小笠原氏、井上氏、(松井)松平氏と頻繁に代り、慶応2年(1866)白河より阿部正静が10万石で入封した。
城は戊辰戦争の兵火にかかり、慶応4年(1868)6月24日落城した。
『「大名の日本地図・中嶋繁雄著(文春新書刊)」、「現地説明板」参照』

現況・登城記・感想等

棚倉城は築城の名手・丹羽長重が築いた城で、同じく丹羽長重が後に築いた白河小峰城と二本松城が石造りの近世城郭とするならば、この棚倉城は土造りの近世城郭といえるだろう。
棚倉城の縄張りは、土塁と内堀で囲まれた本丸の周囲を二の丸が取り囲み、更に二の丸の周囲を外堀で囲み、二の丸の北側に三の丸を配した典型的な輪郭式平城である。

棚倉城跡の魅力は、何と言っても本丸周囲を一周している土塁と水堀であろう。
土塁の高さは約6.4mあるという。まずは土塁の上に登って一周したが、土塁の幅の広いのに驚いた。 これほど大規模な土塁の上を散策するのは初めてである。土塁から水堀を見下ろすと、土塁の下の方にも犬走りが設けられ、それが今では狭い道となり、その道も土塁上と同様、散策路になっている。
その後、水堀の外側を一周してみた。幅が約36mもあるという満々と水を湛えた水堀が高い土塁と相俟って何とも言えない風情があり、藤沢周平の世界に紛れ込んだような気になった。
尚、西側外堀跡には約160mにわたり石垣が残っているらしいが見落としてしまった(;>_<;)。
(2007/07/28登城して)

ギャラリー

棚倉城縄張略図(現地説明板より)
棚倉城の縄張りは、土塁と内堀で囲まれた本丸の周囲を二の丸が取り囲み、更に二の丸の周囲を外堀で囲み、二の丸の北側に三の丸を配した典型的な輪郭式平城である。
本丸は東西約60m、南北約74mの規模で、周囲を幅7~8m、高さ6.4mの土塁と幅約36mの水堀(内堀)で囲まれている。

棚倉城縄張図

【本丸虎口】
本丸の南東隅と北側中央に設けられた二つの虎口は土塁ながらも二門を完備した枡形で構成されていた。尚、南虎口が大手となり追手門は外桝形で北門は内桝形で構築されている。
追手枡形門跡
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北二門・櫓門跡
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【本丸】
本丸は東西約60m、南北約74mの規模で、周囲は幅7~8m、高さ6.4mの土塁と幅約36mの水堀(内堀)で囲まれている。
本丸とその周囲の土塁
本丸周囲を取り囲む土塁の高さは約6.4mあるという。 
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本丸跡に建つ城郭風の公民館
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【本丸周囲を取り囲む土塁】
本丸周囲を取り囲む土塁は幅7~8m、高さ6.4mあるという。
土塁上
土塁上の幅の広いのに驚いた。上部幅でも7m近くあるだろう。これほど大規模な土塁の上を散策するのは初めてである。
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土塁下の犬走り
土塁の下には犬走りが設けられ、今は狭い道となり、土塁上と同様、散策路になっている。
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【本丸周囲を巡る水堀(内堀)】
水堀の幅は約36mあるという。満々と水を湛えた姿が、高い土塁と相俟って、何とも言えず風情があり、藤沢周平の世界に紛れ込んだような気になる。
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大ケヤキ
内堀のほとり、追手門から本丸に至る道筋に大ケヤキが立っている。このケヤキは寛永元年(1624)、近津明神(都々古別神社)を馬場の地に遷宮し、翌2年、その跡地に棚倉城を築城する以前から存在していたといわれ近津神社の社木であり樹齢600年に達すると推定され、根回りは13m、瘤のある周囲は9.5m、樹高は32.3mある。
時代が変わり、外堀が埋められて市街地が内堀のすぐ外側まで迫ってきて、内堀の外周に沿って作られた道路も交通量が多くなってきたため、ケヤキの立つ交差点も自動車時代に合わせて改造を余儀なくされたが、町では先人が育んで来た歴史の生き証人であるケヤキを永く後世に継承するため、樹木の保護および生育環境を整備するとともに、景観にも配慮した交差点の改良工事を平成14年度(2002)に施工した。(説明板より)
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