本丸と中の丸間の空堀に再現?された引橋
北条氏照の城、武田軍に攻め込まれ、後に更なる急峻の地・八王子城へ移る
所在地
東京都八王子市丹木町(滝山公園)
形状
平山城
現状・遺構等
【現状】 滝山公園(山林)
【遺構等】 曲輪、空堀、堀切、土塁、井戸、土橋、馬出、虎口、復興曳橋、石碑、説明板
【国指定史跡】
指定日:昭和26年6月9日
指定理由:自然の要害を巧みに取り入れ、堀・土塁などは旧状をよくとどめている中世の山城
面積:37万4,498.97㎡
資料館:なし
満足度
★★★★★
訪城日
2003/04/13
2007/04/01
2015/04/09
歴史等
滝山城は武蔵国守護代大石定重が北西約2㎞にある高月城から大永元年(1521)に築城し移ってきたといわれる。
その後大石定久の時、天文15年(1546)北条氏康が「河越夜戦」に勝つと、定久は関東管領武蔵守護である山内上杉氏を見限り、北条方に属した。永禄元年(1558)前後に、定久は、氏康の次男(三男とも云われる:大石源三氏明と名乗った。後の氏照)を養子として迎え入れ、引退して家督を譲り、滝山城は実質上北条氏の支配となった。氏照は城を大幅に拡張・大改造し、防衛機能にすぐれるのみならず、領国経営の拠点としても機能する城郭にした。
永禄12年(1569)10月滝山城は関東に侵入した武田信玄の2万の大軍によって三の丸まで落とされ、二の丸まで攻め込まれたが、そこでくい止め退けていると甲陽軍艦に記されている。この戦闘により、氏照は滝山城が防衛上必ずしも堅固な城ではないことを知り、天正12年~15年(1584~1587)頃、平山城の滝山城から、西方の急峻な独立峰の深沢山に八王子城を築き移った。
『参考資料「日本の名城・古城もの知り辞典(主婦と生活社刊)」「日本の史跡6中世(同朋社刊)」』
現況・登城記・感想等
日本最大級の中世平山城の遺構である。城跡形態が本当によく残っており、非常に広いというか規模が大きいのに感激した。また、それだけでなく、大規模な土塁や空堀や土橋等々の遺構も実によく残っている。地形的には南西側(滝山街道沿い)からはさほど急峻でもない丘陵だが、東北側の多摩川沿いは崖になっていて、多摩川が天然の堀になっており、そこから多摩川方面の眺望は絶景である。 30近い曲輪が空堀や土塁で複雑に仕切られているそうであるが、ただ歩いているだけでは分かりにくい。次回は、鳥瞰図を見ながら周りたいと思う。
また、ここは何といっても桜が見ものである。 5,000本の桜の木があるそうである。まるで、吉野の千本桜のような景観だといっても大げさではない。おそらく、東京都内では最高であろう。
(2003/04/13登城後に)
今日は、桜が満開であろうと思い、滝山城址をゆっくり見て廻ろうとやって来た。八王子駅から滝山城址を経由するバスの本数は非常に少ない。おまけに、お花見の季節のせいもあるのか、1時間近く掛ってしまった。この後、友人との待ち合わせの約束があり、時間は1時間弱しかなかった。急いで廻らざる得なくなってしまった。次回は、もう少し早く出掛けてこないと・・・
(2007/04/01登城して)
ギャラリー
登城口
滝山城址公園は、4月の桜の時期になると桜まつりが催されます。滝山城址下バス停から城址公園へ登って行くと、堀底道になった如何にも山城への登城道へ出る。
小宮曲輪下の空堀と土塁
堀底道を登って行くと、すぐに、左手に小宮曲輪下の堀が現れる。
堀底に降りて、奥のほうへ向かって行くと、小宮曲輪の北側~東側~南側をめぐる空堀が良好に残っている。
三の丸手前の空堀
登城道をさらに登って行くと、三の丸手前の堀が右側に。写真左側の土塁上が三の丸。
千畳敷手前の空堀と土橋
喰い違い虎口になっている。右土塁上が千畳敷。
二の丸
城の中心に位置し、他の曲輪に比べ、出入り口が頑強なことから、城主が居住していたと考えられる。
引橋(堀底から撮影)
資料が無く、当時の姿は明らかではない。
中の丸から引橋を通り本丸への枡形虎口
本丸への虎口は、もう一つ他に、堀底に通じる枡形虎口(下写真)がある。
(本丸)
本丸は南北2段に分かれ、土塁によって囲まれている。
本丸跡に建つ石碑
なた、本丸跡隅には城址碑が2基建ち、片方の石碑には説明が刻まれている。
堀底から通じている本丸虎口
本丸へは、堀底から通じている虎口もあるが、これがあることによって、敵方から攻められやすくなると思うが、何故造ったのか疑問だ?
本丸北端から多摩川方面を望む
本丸は、北側が一段高くなっており、多摩川が一望のもとに望める。
上写真喰い違い虎口両側の空堀
この喰い違い両側の空堀は、深くて幅も広く見応えがある。
【5000本もの桜】
訪問者のほとんどの方にとっては、城址よりも5000本もあるという桜が本命でしょうね。吉野の千本桜並みと云っても大げさではないかもしれないほど見事だ。