吹貫門跡手前の常盤曲輪の石垣
那須与一の子孫那須（沢村）氏の居城
別名
臥牛城
所在地
栃木県那須烏山市城山
【アクセス】
＊市役所烏山庁舎の北西の山が烏山城址です。
烏山城への登城口は数箇所ほどありますが、私は毘沙門山の遊歩道口から登り、七曲り道を寿亀山神社・三の丸跡へと降りてきました。
しかし、毘沙門山は、あまり遺構もなく情緒もない道でなので、「七曲り道を登り、１２曲り道を降りて来るコース」をお薦めします。
＊烏山市役所烏山庁舎：烏山市中央１－１－１、ＴＥＬ０２８７－８３－１１１１
形状
山城
現状・遺構等
【現状】 那珂川県立自然公園（山林）
【遺構等】 曲輪、土塁、石垣、空堀、堀切、説明板
満足度
★★★★☆
訪城日
２００８／０１／１５
歴史等
烏山城は、応永２５年（１４１７）源平合戦で功をたてたことで有名な那須与一宗隆より数えて６代目にあたる那須（沢村） 資重が築城したと伝えられる。
以後、烏山城は、那須氏歴代の居城となり、北下野に武威を誇った。
しかし、天正１８年（１５９０）、那須氏は豊臣秀吉の小田原征伐に遅参したため、所領と城を没収されてしまった。
那須氏改易ののち、天正１９年（１５９１）烏山城には、成田氏長が武蔵忍から３万７千石で入封し、その後、弟・長忠が継いだが、元和２年（１６１６）に長忠が没すると、次男氏宗は幼少であることを理由に１万石のみに減じられ、烏山城には、常陸国小張から松下重綱が入封し、那須郡内にて２万８百石を領した。
重綱は寛永４年（１６２７）、陸奥二本松へ移封となり、下野芳賀城（真岡）から堀親良が２万５千石で入封したが、その子・親昌の時の寛文１２年（１６７２）に信濃国飯田へ転封となり、三河国中島の老中板倉重矩が那須以外に山城国や三河国、上総国内の各地に合計５万石を領して居城を烏山に移した。
天和元年（１６８１）、板倉氏が武蔵岩槻に転封となり、那須資弥が大名に取り立てられ、故地烏山への復帰を許された。 しかし、次の資徳の代に無嗣により、再び取り潰されてしまった。
その後、永井氏、稲垣氏などが入封したのち、大久保氏が城主となり、８代１４０余年間、烏山周辺を支配し、明治維新を迎えている。
城は、古本丸、本丸（俗称二の丸）、北城、西城と若狭曲輪、常盤曲輪、大野曲輪の５城３郭があったが、明治６年焼失した。
三の丸は、万治２年（１６５９）、山城を禁ずる幕令によって、時の城主堀親昌が城山東麓に築いた。この居館は、 明治５年２月大雪のため崩壊した。
『「現地吹貫門跡の説明板、三の丸跡の説明板」、「日本の古城・名城もの知り事典（主婦と生活社刊）」、「藩と城下町の事典（東京堂出版）」ほか参照』
現況・登城記・感想等
烏山城は各曲輪が大きい上、それを取巻く空堀・堀切の規模も非常に大きく、しかもそれらの遺構が良好に残る壮大な山城です。おまけに、関東の山城には珍しく石垣まで残る非常に見応えのある城址でした。
ただ、気になったのは、あまりにも山が荒れていることです。藪に覆われ（冬だから大したことがなかったが、夏だったら大変でしょう）、さらに倒木があちこちに見られます。また、伸び放題の杉の枝で光が当たらず昼でも真っ暗です。
ここへ来る途中、ガソリンスタンドで読んだ地元の下野新聞に、「栃木県の山林は、植林された杉の間伐がされずに放りっ放しになっており、地面に陽が当らず、新しい草木も生えず、死の山化している」との記事がありましたが、まさに、ここもご多分に漏れず、その通りでした。
まだ、下草（雑草）が生茂っていただけましなのかもね？（苦笑）
（２００８／０１／１５登城して）
ギャラリー
縄張図（吹貫門跡説明板より） ～クリックにて拡大画面に～ 
毘沙門山城山遊歩道入口
烏山城への登城口は数ヶ所ありますが、私は毘沙門山の歩道口から登りました。 
毘沙門山城山遊歩道の登城道
この登城道は、コンクリートで造られた階段をただただ登って行くつまらない道でした。尚、このコンクリートの階段は５３７段あります。
コンクリートの階段を登り切ると、次は丸太に似せたコンクリートで組まれたなだらかな階段を登って行きます。 
展望台
毘沙門山頂上に到着すると、展望台があります。 
展望台からの眺望
展望台からの眺望は素晴らしい。尤も、わざわざ展望台に上がらなくても充分素晴らしい眺望ですが・・・。 
筑紫山山頂（電波塔）
毘沙門山展望台から城山に向かってしばらく尾根道を歩いて行くと電源開発（株）烏山中継局の塔が建つ筑紫山山頂へ出ます。そこに立つ説明板によると、筑紫山（海抜１９９．４ｍ）は、当町歴史年表によると西暦８０７年に征夷大将軍坂上田村麻呂が東征の途上、宇佐八幡宮の神職斎藤藤左衛門大夫宗隆をして、神祠を建立し筑紫山と命名され、その後、明応年間（１４９６）、今の宮原に遷宮されたとあります。そして、烏集り飛鳴せしにより烏山と号すなりと記されているとありました。 
土橋
筑紫山山頂からは、折角頂上に登ったのに急な下り坂へと出ます。その坂道を降り切ると、そこには天然の地形に多少手を加えたような堀切があり土橋が設けられています。 
分岐点（案内板の奥は鼓楼跡）
その後、尾根道をしばらく登ったり降りたりすると、鼓楼跡へ出ますが、そこが七曲り道と城址との分岐点になります。 そこの高台上が鼓楼跡です。そこを城址方面へ向かって行くと堀切へ出る。 
車橋跡
鼓楼跡（分岐点）から城址方面へ向かって歩いて行くと、規模の大きな堀切へ出ます。堀切には「車橋趾」との案内板が立っています。堀切の向こう側は常盤橋御門跡です。 
常盤曲輪下の石垣
車橋跡を過ぎ、しばらく鬱蒼とした山道を登って行くと、吹貫門跡の手前に常盤曲輪下の石垣が見えてきます。関東には珍しい山城の石垣です。何とも嬉しくなってきます。 
吹貫門跡 
吹貫門跡には縄張図付きの案内板があり、ここから「正門を通り曲輪内へと入る道」と「曲輪下を通る道」に分かれます。 
正門跡とその周辺の石垣
正門跡やその付近のあちこちにも石垣が残っています。 
空堀
正門を入ると本丸へと出ます。その左側に大空堀があります。堀底に井戸跡があるらしいのですが、強烈な藪で、とても突入できそうにありませんでした。 
本丸（那須家時代二の丸）
明応年中（１４９２～１４９９）に資實（資重の孫）が築いたとのことで、面積は東西７０．２ｍ、南北８１ｍ、周濠３３７．５ｍあります。明治６年１２月２６日に焼失したそうです。通り道以外は、あまりの藪で曲輪内には入って行きませんでした。 
本丸・古本丸間の堀切
この堀切も大規模なもので、先ほどの（本丸へ出てすぐに見掛けた）空堀と繋がっているようです。 
古本丸・中城間の堀切
この堀切も大規模で、やはり先ほどの空堀と繋がっています。古本丸と堀底の比高差は相当なもので、８ｍほどはあるのでは？ 
上写真（古本丸・中城間の堀切）を堀底から古本丸側を撮ったものです。古本丸と堀底との比高差はかなりのもので７～８ｍ近くあるのではと思われます。 
中城から切岸を降りる
中城の一番北側から切岸の階段を降りて行きますが、その比高差もかなりのもので、７～８ｍほどはあるでしょう。 
侍屋敷跡
中城下の道を挟んで、反対側には北城（侍屋敷跡）がありますが、ここも笹と草茫々です。 
桜門跡
桜門跡から見上げる古本丸は往時は石垣があったのか、その姿がかっこよい。また、中城間との堀切も、草茫々であるにも関わらず、よく分かります。 
古本丸と中城を断ち切る堀切 
厩跡
厩跡には土塁が残っていますが、藪がひどくて・・・(／。ヽ)。 
常盤曲輪跡（塩蔵跡近辺）
こちらの曲輪跡も草茫々です。 
七曲り道
下山は七曲り道を降りました。毘沙門山経由の道と比べると、多少は風情があり、しかも、かなり時間の節約も出来ます。 
三の丸
写真右側が三の丸で、左奥に寿亀山神社、奥上に城山が見えます。神社鳥居の手前を左へ曲がって行くと、七曲り道へと行きます。三の丸居館は、明治５年２月大雪のため崩壊したが、石垣はよく残っています。 
