尾張 阿久比城(阿久比町)

本丸跡に建つ城址碑

久松松平氏発祥の城、家康の生母・於大の方が再嫁してきた城

別名

坂部城、阿古屋(あこや)城、阿久居(あぐい)城

所在地

愛知県知多郡阿久比町卯坂字城山、城山公園(阿久比町立図書館の東)
阿久比町立図書館:阿久比町卯坂字栗之木谷32-4、電話:0569-48-6231

形状

平城

現状・遺構等

現状:城山公園
遺構等:曲輪、土塁、空堀、石碑、説明板

満足度

★☆☆☆☆

訪城日

2008/11/10

歴史等

阿久比(あぐい)城は、久松定益が築城したと言われるが定かではない。
久松氏は遠祖を菅原道真の支族久松麻呂であると称している。罪を得て知多阿古居(阿久比)に配流され、その子孫が久松氏を称したという。
また一説には、道真から3代目の雅規のとき知多郡に移り、14代道定の時、久松氏を称したともいう。道定は尾張守護斯波氏の被官であった。
道定から11代目の俊勝のときには、阿久比城が久松氏の居城であったことが「尾張誌」に見える。それによると、東西40間(約73m)、 南北50間(約90m)の規模であったという。
徳川家康の生母・於大の方を妻に迎えたのが俊勝である。刈谷城主水野忠政の娘・ 於大は、岡崎城主松平広忠に嫁いで竹千代 (家康)を産んだが、その後、兄の水野信元が今川から織田に寝返ったため、今川方の広忠はやむなく於大を離別せざるをえなかった。
その後、於大は阿久比城主久松俊勝のもとに再嫁し、康元・勝俊・定勝を産み、俊勝が岡崎城代として移るまで15年間在城した。
天正5年(1577)城主の久松信俊(俊勝の長男)は、佐久間信盛におとしいれられ、大坂四天王寺にて切腹させられた。阿久比城は、 信盛の手勢によって攻められ、落城炎上したと伝えられる。
尚、於大の方が生んだ三兄弟は、やがてそれぞれ関宿 掛川桑名などを与えられて散った。
『「現地説明板」、「歴史と旅・日本城郭総覧(秋田書店刊)」参照』

現況・登城記・感想等

阿久比城址は本丸跡が城山公園となっている。規模は小さく、本丸周囲の土塁の他に、大した遺構も残っていないが、 城址の風情を漂わせている。
本丸跡には、大きな「阿久比古城趾之碑」がそそり立っているが、他にもやたらと多くの石碑が立っている。
尚、150mほど北にある洞雲院は、阿久比城主久松家の菩提寺で、城主の墓と並んで於大の方の墓もある。
(2008/11/10登城して)

ギャラリー

城山公園(城址)入口
公園入口に「久松家創業地 城山公園」と「西国三十三観音阿久比城趾奉安所」の碑と説明板が立っている。 石碑右側に5~6台駐車できる駐車場がある。

本丸虎口
城東側虎口から入って行く。この辺りの土塁はしっかりしている。

本丸
本丸跡には、於大の方が里人に綿の栽培を奨め、自らも綿づくりに励んだということで、小さな綿畑(写真手前) があった。

本丸南から東周囲の土塁
城址の規模は小さく、この本丸周囲の土塁の他に、大した遺構も残っていないが、 城址の風情をそれとなく漂わせている。

本丸西の土塁
この図書館との境界の土塁は、他の部分の土塁よりも綺麗だった。図書館建造時に少し改変されているかも?

本丸跡の石碑
また、本丸跡には表紙写真の大きな「阿久比古城趾之碑」の他にもやたらと多くの石碑が立っている。 一番左側の石柱は、阿久比城・久松松平氏の後裔でもあるNHKアナウンサー・松平定知氏の来山記念碑。一番右は、 松平定知氏の従兄弟にあたるNHK磯村尚徳氏の「多く苦しむもの 多く学ぶ」と彫られた石碑。この他にもやたらと石碑が立っていた。

【洞雲院】
寺伝によれば、平安時代の天暦2年(948)に菅原道真の孫・雅規が開基となり、天台宗の久松寺 (洞雲院の前身)を創建したと伝えられる。雅規は幼名を久松麿と言い、後に英比丸(あぐいまる)、英比殿(あぐいどの)と称された。 室町時代の明応3年(1494)雅規の後裔久松定益が曹洞宗の洞雲院を再建した。天文16年(1547)久松俊勝のもとに徳川家康の生母・ 於大の方が再嫁し三男四女の子女を出生。俊勝の子は松平と改められ、後に桑名城主、 松山城主をはじめ多くの大名・ 旗本として世に出した。当山の境内墓地には英比殿をはじめ於大の方など13基の墓がある。(洞雲院説明板より)

久松・松平家葬地
左手前から、松平定綱、於大の方、久松俊勝、久松定義、 久松定益の墓

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コメント

イズミユキエ(2014/05/18)

半田城(個人宅)の回収に伴い 自宅北側(道路沿い)に 模擬土塁が 作られました。

タクジロー(2014/05/19)

イズミユキエさま
当サイトへのご訪問ありがとうございます。
また、情報をありがとうございます。
機会を作って、半田城跡の状況を見に訪れたいと思います。

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