尾根を断ち切る大堀切
今川氏の詰所・賤機山城は静岡平野を一望に見渡せる好所
別名
籠鼻砦
所在地
静岡県静岡市葵区大岩町賤機山
【登城は】
浅間神社の百段の石段を登り、賎機山ハイキングコースにそって進む
形状
山城（標高：１７２ｍ、比高：１５０ｍ）
現況・遺構
【現状】 山林・みかん畑･茶畑
【遺構等】 曲輪、土塁、堀切、石碑、説明板
満足度
★★☆☆☆
訪城日
１９７７年
２００７／０２／１７
歴史等
賎機山城は南北朝の動乱期（１４世紀）に北朝方の今川氏初代範国が安倍川西岸の安倍城に本拠を構える南朝方の狩野氏に備えて築いたとされる。
応永１８年（１４１１）には、今川氏４代範政が父祖以来念願の駿府進出を果たして今川館を構えた際に、その詰城として改造された。
当時、今川館を中心として駿府防衛のために周辺１０数キロにわたって、八幡山城・有東砦・愛宕山城・丸子城・持舟城・金山砦・瀬名砦など多くの城砦が築かれたが、その中でも賎機山城は最も早く築かれ、しかも最後まで重要な位置を占めていた山城である。
永禄１１年（１５６８）１２月には武田信玄の駿府進攻によってその支配に降り、さらに天正１０年（１５８２）３月の徳川家康の駿府入りにより廃城となった。
『「現地説明板」、「静岡県古城めぐり（静岡新聞社刊）」他より』
現況・登城記・感想等
早乙女貢の「北条早雲」によく出てくる城跡です。静岡市在住時代の息子がまだ小さかった頃（１９７５～７６年頃）に自宅裏の山が賎機山城跡とは知らずに登り､浅間神社の方まで尾根づたいに歩いた記憶があるだけです。今から思えば､堀切や土塁らしきものがあったような気もします(￣ー￣；。
（１９７５年頃に訪れて）
実に約３０年ぶりの登城です。
静岡市街の北東にそびえる竜爪山（標高１０５１ｍ）の支脈の一つが、安部川沿いに南西方面へぐんぐん低くなり、 その先端が静岡市街中心近くの浅間神社で終わっています。その先端近くの南北両側を堀切で断ち切った内側が賎機山城跡です。尾根の東西は両側共、急崖になっており絶好の城地でしょう。
城域は東西約４００m、南北約６００m以上にわたり、縄張は賎機山最高所に本曲輪を構え、その南北に曲輪を構えています。
堀切は本曲輪の南北にそれぞれ２本、西出丸との間に１本あるようですが、南側の２本と北側の１本は確認できましたが、その他へは行かずに下山してしまいました(／。ヽ)。
尚、尾根の両側は斜面が急なことから、数本の竪堀は存在していますが、横堀は設けられていないようです。
（２００７／０２／１７登城して）
ギャラリー
賤機山城全景（東麓にある城北公園から） 
賤機山ハイキングコース 
浅間神社と浅間神社横の１００段の石段
この１００段の階段から登城開始（実際は１０４段？） 
賎機山公園
１００段の石段を登り、尾根の上へ・・・。そこから尾根の上を北へ向かって歩いて行くと賎機山公園に到着すします。 
臨済寺を見下ろす
前方下には、今川氏輝・義元や雪斎長老の墓がある名刹・臨済寺が見えます。遠くに見えるのが竜爪山（標高１０５１ｍ）の山並みです。 
痩せ尾根（土橋？）
賎機山公園の頂上を過ぎると、いよいよ城域に近くになり、この辺りからは尾根が狭く、両側が急崖になってきて、まるで長い土橋 （或いは一騎駆け）のようなところが各所にあります。 
大堀切①
賎機山公園山頂部から１０分強ほど北進すると尾根を断ち切る大堀切が現れます。 
大堀切②
最初の大堀切を渡り、さらに北進すると、二つ目の大堀切が現れます。この堀切が賎機山城遺構の一番の見所でしょうか。この堀切は、深さ８ｍ、幅５～８ｍ、長さ１０ｍで、東端は臨済寺へ向かって落ち、西端は長栄寺へ向かってまっすぐに落ち込んでいるとのことです。 
山頂部の曲輪（本丸中心部）
城の中心部分は今川氏歴代の菩提寺である臨済寺をほぼ真下に見下ろす尾根上にあり、三つの主要曲輪から構成されています。この曲輪部分は城の中でも最も標高が高い尾根上にあり（標高１７２ｍ）、静岡平野を一望に見渡せる好所にあります。 
本丸北側の曲輪跡？
本丸から、さらに北へ進んで行くと幾つかの削平地（一部畑になっている）や段々になった曲輪跡のような地形に出会いますが、 かなり改変されているようで往時のものかどうかは定かではありません。 
堀切？
さらに北へ向かって進むと、堀切と思われる地形がありました。この辺りまでが城域でしょうか。 
