タオルミーナ(シチリア州メッシーナ県)

タオルミーナのギリシャ劇場、背後にイオニア海とエトナ山の山裾が

イオニア海からせりあがるモンテ・タウロの急斜面にカルタゴ人によって築かれた城塞都市

イタリア語名

Taormina

所在地

シチリア州メッシーナ県タオルミーナ

訪城日

2016/05/19

歴史等

タオルミーナは、元々はシクリ族の集落でしたが、紀元前392年にシラクサの傭兵によって占領されギリシャ化され、モンテ・タウロの山頂をアクロポリスの丘にしました。
紀元前315年にはカルタゴによって町が占領されました。シチリア各地に攻勢をかけたカルタゴは、モンテ・タウロの中腹に、岩棚のように平坦な部分があることに目を付けて、そこに小さな城塞都市を築きました。
紀元前3世紀末(紀元前210年頃)、ローマによって征服されました。紀元前1世紀の内乱期にはポンペイウスの息子セクストゥスに加担してローマに反旗を翻しましたが、オクタウィアヌス(初代皇帝アウグストゥス)によって平定され、タオルミーナは植民市化され、住民はすべて流刑に処されました。
その後、ビザンチン時代にはシチリア州都として栄えました。
10世紀初めにはアラブ人に征服されましたが、その時に東ローマ帝国(ビザンツ)総督府はタオルミーナを拠点として抵抗しました。モンテ・タウロと隣のカステルモーラのアラブの要塞はこの時の遺構です。
その後、ノルマン時代には再び繁栄を取り戻しました。
『シチリアへ行きたい(新潮社刊)他参照』

現況・登城記・感想等

イオニア海からせりあがるモンテ・タウロという標高398mの岩山があります。その岩山の急斜面にできた町が城塞都市「タオルミーナ」です。
タオルミーナ旧市街は、海岸からせり上がるタウロ山の中腹にはりついており、東の「メッシーナ門」から西の「カターニア門」まで800mほどのメインストリートの「ウンベルト通り」が旧市街を山に沿って水平に横切っています。
ウンベルト通りには、城塞都市の名残りとして、メッシーナ門とカターニア門の他にも「コルヴァヤ館」や「サント・ステファノ館」、「城壁」などが残っています。
しかし、今ではタオルミーナはシチリアでも屈指の景勝地でもあり、世界中の人達の憧れのリゾート地となり、ウンベルト通りは、西洋各地からの観光客やリゾート客で賑わうお洒落な通りになっています。
通りの中ほどにある「4月9日広場」は、海に向かって開け、美しい海岸線が見下ろせます。反対方向を見上げるとモンテ・タウロの城塞の姿がかっこいいです。
しかし、タオルミーナで最大の名所は何と言っても「ギリシャ劇場」でしょう。
タオルミーナのギリシャ劇場は、ヘレニズム時代のBC3世紀頃に建造され、ローマ時代の2世紀に円形闘技場として改築されました。建造から既に2000年を遥かに超えていますが、保存状態が大変良い上、修復工事も施され、往時の威容を今に伝え、今でも、夏にはここでライブを行うこともあるそうです。
古代劇場として、シチリア島ではシラクーサの劇場に次いで2番目の規模だそうですが、その立地条件が絶妙で、丘の窪みを利用して階段状に観客席がめぐり、天気の良い日には、正面の舞台の向こうにシチリア島の象徴でもあり、いつも噴煙を上げている活火山「エトナ山」と紺碧のイオニア海が見えるようです。
残念ながら、生憎の天気で、エトナ山も裾野だけしか見えず、イオニア海の色も今一つでしたが・・・(/。ヽ)。
(2016/05/19訪れて)

ギャラリー

【タオルミーナ旧市街】
タオルミーナ旧市街は、海岸からせり上がるタウロ山の中腹にはりついており、東のメッシーナ門から西のカターニア門まで800mほどのメインストリートの「ウンベルト通り」が旧市街を山に沿って水平に横切っています。
(メッシーナ門)
メッシーナ門は中世の城壁に19世紀に再建されたもので、ここからメインストリート「ウンベルト通り」が西端の「カターニア門」へと続きます。 
メッシーナ門

(ウンベルト通り)
ウンベルト通りは、西洋各地からの観光客やリゾート客で賑わうお洒落な通りになっており、タオルミーナを訪れる人の多くは、4月9日広場で景色を楽しんだり、ウンベルト通りに並ぶおしゃれなブティックやブランドショップを見て歩いたり、カフェに入ってリゾート気分を味わったりするようです。
ウンベルト通り

(コルヴァヤ館)
ウンベルト通りには、城塞都市の名残りとして、メッシーナ門とカターニア門の他にもコルヴァヤ館やサント・ステファノ館、城壁などが残っています。コルヴァヤ館は、11~15世紀の複合建築で、シチリア民衆伝統博物館が置かれています。
コルヴィア館

(4月9日広場) ~画面をクリックにて拡大~
ウンベルト通りの中ほど、狭い路地が開けると見晴らしの良いテラス(4月9日広場)が広がり、15世紀のゴシック様式のサンタゴスティーノ教会や17世紀の時計塔が建っています。教会の背後の岩山(モンテ・タウロ)の山頂にはアラブの城砦が見えます。
4月9日広場からモンテタウロを

(4月9日広場からイオニア海を見下ろす) ~画面をクリックにて拡大~
4月9日広場の張り出したテラスからは、眼下に紺碧のイオニア海とその美しい海岸線のパノラマが広がります。
4月9日広場からイオニア海を

(大聖堂)
4月9日広場からウンベルト通りを
少し西へ向かって行くと大聖堂があります。大聖堂は、13世紀に創建され、15~16世紀と18世紀に改修されたものです。大聖堂とはいえ、小さな建物ですが、バラ窓が飾るファサードはなかなか重厚です。正面手前のバロック様式の噴水を飾るのは、町のシンボルでもある「女ケンタウロス像」です。
大聖堂

(カターニア門)
ウンベルト通りの西端にはカターニア門が建ち、そこから両側へ城壁が設けられています。カターニア門の周辺はタクシーをはじめ、車や人でごった返していました。
カターニア門

(カターニア門とサント・ステファノ館)
カターニア門の南側にはサント・ステファノ館が建ち、城壁で繋がっています。
カターニア門とサントステファノ館

(サント・ステファノ館内部)
サント・ステファノ館は小美術館になっていて、無料で入館できました。
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(城壁)
館の窓から、南東へ延びる城壁がよく見えます。
城壁1

また、館のテラスからはカターニア門へ続く城壁が見え、背後の岩山(モンテ・タウロ)山頂の城砦も見えます。
城壁2

【ギリシャ劇場】
タオルミーナで最大の名所は何と言っても「ギリシャ劇場」でしょう。タオルミーナのギリシャ劇場は、ヘレニズム時代のBC3世紀頃に建造され、ローマ時代の2世紀に円形闘技場として改築されました。 建造から既に2000年を遥かに超えていますが、保存状態が大変良い上、修復工事も施され、往時の威容を今に伝え、今でも、夏にはここでライブを行うこともあるそうです。
(ギリシャ劇場とエトナ山、イオニア海) ~画面をクリックにて拡大~
古代劇場として、シチリア島ではシラクーサの劇場に次いで2番目の規模だそうですが、その立地条件が絶妙で、丘の窪みを利用して階段状に観客席がめぐり、天気の良い日には、正面の舞台の向こうにシチリア島の象徴でもあり、いつも噴煙を上げている活火山「エトナ山」と紺碧のイオニア海が見えるようです。残念ながら、生憎の天気で、エトナ山も裾野だけしか見えず、イオニア海の色も今一つでしたが・・・(/。ヽ)。
DSC_0174

同時期に別のツアーでシチリアを訪れたO上さんから、同じ場所からの写真を送って戴いたので掲載します。O上さんが訪れた時は晴れていたようで、雲がかかってはいるもののエトナ山もよく見えます。羨ましい!
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(ギリシャ劇場とモンテ・タウロ) ~画面をクリックにて拡大~
ギリシャ劇場の背後にモンテタウロの城砦が見えます。
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(ギリシャ劇場観覧席を)
ここでライブを行うこともあるので、観覧席の修築とともに、増設もされています。
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(ギリシャ劇場観覧席最上部の回廊)
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(ギリシャ劇場の舞台の裏側からタオルミーナ旧市街を) ~画面をクリックにて拡大~
ギリシャ劇場は、タオルミーナ旧市街の東の高台にあるので旧市街がよく見えます。旧市街背後にはモンテタウロとカステルモーラの城砦もよく見えます。
DSC_0160

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