カゼルタ王宮(カンパニア州カゼルタ県)

大滝から王宮へと3kmに渡って延びる庭園(遥か向こうに王宮建物)

カルロ3世(ナポリ王カルロ7世)がヴェルサイユ宮殿を凌ぐ宮殿を目指して建設した王宮

イタリア語名

Reggia di Caserta

別名

カゼルタ宮殿

所在地

Viale Douhet, 2/a, 81100 Caserta CE, Italy
カンパニア州カゼルタ県カゼルタ

訪城日

2016/05/22

歴史等

1700年、スペイン王カルロス2世が子孫を残さず死去し、ハプスブルク朝スペインが断絶すると、スペイン継承戦争が起りました。
その結果、フランスのブルボン家のフィリップがフェリペ5世としてスペイン王位を継ぐことになりましたが、ナポリ一帯とミラノやフィレンツェなど、スペイン支配であったイタリアの領土は、オーストリアのハプスブルク家のものとなりました。
その後、フェリペ5世の息子フェルナンド(6世)がスペイン王国の王位を継ぎ、その弟カルロス(イタリア語ではカルロ)が母親の出身地の北イタリアのパルマ公国の王となりイタリアへ来ました。
カルロスは、ハプスブルク家のものとなっていたナポリとシチリアを取り戻し、ナポリ王カルロ7世、シチリア王カルロ5世となりました。ナポリとシチリアは当時、別々の王国でしたが、ナポリに宮廷が置かれ、カルロが同時に支配し、ナポリ王宮を改築しました。
その後、カルロはナポリから30kmほど北にあるカゼルタへ宮廷を移すことにしました。カゼルタ王宮は、カルロの曾祖父フランスのルイ14世が営んだヴェルサイユ宮殿に匹敵するものが望まれ、建築家ルイージ・ヴァンヴィッテによって1752年に建築が始まりました。
カゼルタ王宮が着工されて7年後の1759年、スペイン王フェルナンド6世が子を残さず死去したため、弟のカルロがスペイン王カルロス3世になるためスペインへ赴くことになりました。
そのため、25年間、ナポリ王の座にあったカルロは、カゼルタ王宮に居城することなくスペインへ旅立ちましたが、建築はそのまま続けられました。
そして、1773年にルイージ・ヴァンヴィテッが死去したあと、建設は息子カルロ・ヴァンヴィテッリが引き継いで1780年に完成しました。
『歴史を旅する イタリアの世界遺産・武村陽子著(山川出版刊)他参照』

現況・登城記・感想等

カゼルタ宮殿は、カルロ3世(ナポリ王カルロ7世)がヴェルサイユ宮殿を凌ぐ宮殿を目指して建設したというだけあって、1200もの部屋がある豪壮な建物で、当時のナポリ王国の強大な権力と莫大な富を窺い知ることができます。
部屋は36室が公開されていますが、各部屋の天井画や絵画、さらには床を覆う色大理石の紋様が見事です。
しかし、それ以上に凄いのが120haもあるという庭園です。宮殿の後方ファサードから彼方に見える人工の大滝まで真っ直ぐ延びる道は3kmもあるそうで、途中からは道の中央に水路が設けられ、ギリシャ神話の彫刻噴水群が配されています。当庭園を楽しむには、一日かけてゆっくり歩いて廻りたいところですが、時間に余裕がなく、我々のツアーは、循環バスに乗って人工の滝とところまで行き、少しばかりのフリータイムでした。
尤も、私は古色蒼然とした中世の城が好きで、こういった宮殿風の城郭にはあまり興味がないので、これでも充分でしたが・・・。
実際に、このカゼルタ宮殿見学には3時間近くも要したのです。
これほど時間を費やするのなら、半分だけもいいので、ナポリの卵城カステル・ヌオーヴォ見学をさせてもらいたかった~(;>_<;)。
(2016/05/22登城して)

ギャラリー

【王宮へ】
王宮南面
カゼルタ王宮はカゼルタ駅の北の方にあります。247m×184mの長方形の形をしており、宮殿の左右(東西)から南西と南東に向けて翼のように延びる建物があります。「地球の歩き方」の地図を見ると、王宮の手前は「ダンテ広場」となっていますが草が伸び放題でした。
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王宮の手前は道路が通っており、物凄い数のバイクが停まっていました。
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南面玄関
ヴェルサイユ宮殿を意識して建てられたにしては門構えが寂しい感じがしますが、こちらはどうやら裏門のようで、反対側の庭園のある方が正面のようです。
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振り返ると、カゼルタ駅へ真っ直ぐ延びる道が・・・。
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【王宮内部】
王宮内各部屋への入口(
Scalone d'Onore 大階段)
カゼルタ王宮は、カルロ3世(ナポリ王カルロ7世)がヴェルサイユ宮殿を凌ぐ宮殿を目指して建設したというだけあって、1200もの部屋がある豪壮な建物で、当時のナポリ王国の強大な権力と莫大な富を窺い知ることができます。現在、部屋は36室が公開されています。
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カルロ3世(ナポリ王カルロ7世)の像
豪華絢爛な大階段を昇っていくと、正面上にライオンの上にまたがったカルロ3世(ナポリ王カルロ7世)、左右には女神像が出迎えます。
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天井画
王宮の入口は吹き抜けになっていて、天井画が見事です。
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パラティーナ礼拝堂
部屋は勿論、天井や床の色大理石の紋様が美しい。 
パラティーナ礼拝堂

アレッサンドロの広間(Sala di Alessandro)
アレクサンダー大王の絵が描かれているため、そう呼ばれているそうです。
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壁の真っ白なレリーフが美しいです。
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王の謁見の間
部屋中、キンキラキンです。正面奥に玉座があります。
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玉座と天井画
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その他の部屋
次から次へと部屋を廻ったので、あとは、何処が何の部屋か分からなくなってしまいましたが、兎に角、豪華な部屋ばかりでした( ̄ー ̄;。
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【王宮庭園】
宮殿の後方ファサードから遥か彼方に見える人工の滝まで真っ直ぐ延びる道は3kmもあるそうで、途中からは道の中央に水路が設けられ、ギリシャ神話の彫刻噴水群が配されています。当庭園を楽しむには、一日かけてゆっくり歩いて廻りたいところですが、時間に余裕がなく、我々のツアーは、循環バスに乗って人工の滝とところまで・・・。
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歩いて行く人は勿論、自転車で行き来する人を見掛けます。
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エオロの泉(Fontana di Eolo)
滝へ延びる道は、途中、「イルカの滝」の脇を通り、「エオロの泉」の脇を通ります。当写真はバスの窓から撮ったものですが、「イルカの滝」を取り損ないました。道は、滝まで、まだまだ延々と続きます。
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水路
当写真は、大滝の前でバスを降りてから、走って戻って撮ったものですが、本当に水が綺麗です。
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水路には鯉でしょうか、魚が泳いでいます。
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ヴィーナスとアドニスの泉(Fontana di Venere e Adone)
水路の一番奥の噴水は「ヴィーナスとアドニスの泉(Fontana di Venere e Adone)」と呼ばれ、2神が天使や動物に囲まれた彫刻で装飾されています。
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ヴィーナスとアドニスの泉の背後から王宮方面を見下ろす
水路と王宮建物

大滝(Grande Cascata)
大滝を受け止める泉には、月の女神ディアナとアクタイオンの彫刻が置かれていることから「ディアナの泉(Fontana di Diana)と呼ばれています。
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