ホーエンザルツブルク城(ザルツブルク)

メンヒスベルクの丘から望むホーエンザルツブルク城

ザルツブルク旧市街背後の山の上に聳える街のシンボルの城塞

ドイツ語名

Festung Hohensalzburg

訪城日

2012/06/02

歴史等

神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世とローマ教皇グレゴリウス7世の間に起きた聖職叙任権闘争の際に、大司教ゲプハルト・フォン・ヘルフェンシュタイン1世は、弱体化した皇帝の権力に対し、自らの地位を高めようと教皇側についた。
ところが、有名な「カノッサの屈辱」にて、ハインリヒは教皇と和解したため、大司教は皇帝の報復を恐れて、1077年、市の南端、メンヒスブルク山頂に城塞の建設をはじめた。
結局、ゲプハルト大司教は亡命を余儀なくされ、ホーエンザルツブルクの城塞建築は後の歴代の大司教に引き継がれ、マイセン辺境伯コンラート1世(1098頃~1157)の代にほぼ完成した。
神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(在位1152~1190)によるザルツブルク焼討ちでも焼失を免れた。
13世紀以降の大司教領は、南のハプスブルク家、北のバイエルンなど周辺諸国の脅威にさらされていた。
15世紀後半にはこれらの攻撃に備えて、城塞の強化が図られ、4つの塔(鐘楼・薬草塔・鍛冶の塔・囚人の塔)が建てられた。
その後、レオンハルト・フォン・コイチャッハ(1495~1519)が城塞の大増築を行なった。町の住民とは常に争いの中にあったので、城塞の方が安全との判断から、居心地をよくするために城塞の中心建造物を改築し、豪華な領主の間「黄金の間」を造らせたのである。
堅固なホーエンザルツブルク城であったが、圧倒的な強さを誇るフランスのナポレオン軍の前に、戦闘なしに占領されてしまう。1803年には宗教領主制が廃止され、1816年からザルツブルクは神聖ローマ帝国領となりハプスブルク家の支配する地となった。
1861年からは、城塞見学が一般に許された。そして、19世紀の終わりにはケーブルカーも設置された。
そして、現在ではウィーンのシェーンブルン宮殿に次ぐ、オーストリア第2の観光名所となっている。
『「現地購入誌・ザルツブルク(colorama刊)」、「ウィキペディア」、「サイト・どらまちっく ひすとりー」他参照』

現況・登城記・感想等

ザルツブルクは、モーツアルトが生まれた音楽の都として知られるが、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となった場所としても知られ、オーストリアでも人気の観光地である。
そして、大聖堂、新旧レジデンツ、ミラベル宮殿、メンヒスの丘、ゲトライデガッセ、モーツアルトの生家等々、観光スポットも多い。中でも、街の至る所から仰ぎ見ることができるホーエンザルツブルク城は、まさにザルツブルクの象徴である。
ザルツブルクは人口15万人ほどの町で、市街地もそれほど広くなく、時間が許されれば、それらの見どころを歩いて廻ることが出来る。
しかし、残念ながら、今回のツアーでのフリータイムは、僅か50分。そのフリータイムを利用してのホーエンザルツブルク城の登城であったので、残念ながら城の内部は見学できなかった。それでも、稜堡の高い壁をはじめ、見張り台や井戸等々見どころは多かった。ただ、あまりにも時間に余裕がなかったので・・・(/。ヽ)。
尚、城から見下ろすザルツブルクの街並みやアルプスの山並み等々の景色は本当に素晴らしい。
(2012/06/02登城して)

ギャラリー

【ザルツブルク市街案内図】
①ホーエンザルツブルク城、②ノンベルク尼僧院、③大聖堂、④レジデンツ、⑤聖ペーター寺院、⑥フランチスカーナ教会、⑦モーツアルトの生家、⑧コレーギエン教会、⑨音楽祭地区、⑩馬洗場、⑪メンヒスベルクの丘へのエレベーター、⑫カロリーノ・アウグステウム、⑬モーツアルトの青年時代の家、⑭三位一体教会、⑮ミラベル庭園、⑯カプチーナ修道院、⑰聖セバスチャン墓地
ザルツブルク地図

【ザルツブルク各所から望むホーエンザルツブルク城】
ホーエンザルツブルク城は、市内の至る所から望むことができる。しかも、その全てが絵になる。まさに、ザルツブルクの象徴だ。
(メンヒスベルク山頂から)
ホーエンザルツブルク城の代表的な撮影スポットである。このメンヒスベルク山頂まではエレベーターで上ることができる。ここから、尾根の上の散策道を歩いて城まで行けるようで、しかも途中には出城などもあるようだったが、我々のツアーは、勿体なくも、写真を撮り終わると、すぐにエレベーターで降りたのです(;>_<;)。
01メンヒスブルクから

ミラベル庭園から)
01ミラベル庭園から

(ザルツァッハ川越しに)
01ザルツアッハ川越しに

(シュターツ橋の金網にかけられた多くの南京錠とのコラボ)
ザルツァッハ川に架かるシュターツ橋の金網には、色とりどりの南京錠がびっしりとかけられている。ある映画で「カップルの名が書かれた南京錠を橋にかけると願いが叶う」というシーンがあったようで、それをまねしてやっているらしい。他愛もないが、面白い(*^_^*)。
01シュターツ橋から

【登城記】
今回のツアーで与えられた自由時間は僅か50分。登城は無理かと思ったが、念のために現地ガイドに所要時間を尋ねると「ケーブルカーの山麓の駅と山上の駅間は2~3分程度で、10分毎に出ているので、待ち時間は最大10分だという。城内の美術館などの建物内へ入ると無理だが、山上の城をめぐるだけなら大丈夫だろう。」ということで、登城することとなった。

(ホーエンザルツブルク城絵図) ~現地パンフレットより~
Aキューエンブルク稜堡、B荷物を上げるためのケーブル、C見張り台、D兵器庫、E倉庫、F古い兵器庫、G塩貯蔵所、H大司教の住居(宮殿)、I鐘楼
ザルツブルク城絵図

(グロッケン広場からザルツブルク城を)
急げば、何とか登城できそうだということで、大聖堂と新レジデンツの間のグロッケン広場をケーブルカーの山麓の駅まで駆け足で向かった。グロッケン広場から見上げるザルツブルク城がかっこよかった。
IMG_2604

(ケーブルカーチケット)
大慌てでチケットを購入したが、
往復11ユーロ(約1,100円)はオーストリアとハンガリーの物価が違うせいか、ブダ城のケーブルカー往復が1,450フォリント(約500円)であるのと較べかなり高い。
ticket

(北西側稜堡)
ケーブルカーの山上駅を降りると北西側の稜堡に出る。写真奥の円筒形の塔は鐘楼。その手前に、大司教が住んでいた宮殿へ登る階段がある。
17北西側稜堡1 17北西側稜堡2

(北西側稜堡からザルツブルク市街方面を眺める)
稜堡からの眺望は素晴らしい。写真中央の建物が大聖堂で、その左がレジデンツ、右が新レジデンツ。左奥、ザルツァッハ川の向こうにはミラベル宮殿も見える。
18北西側稜堡からの眺望

(宮殿の北面城壁)
宮殿の北面城壁は、急崖の上に直接築かれている。それにしても強烈な崖です。左下に見える道は、歩いて登る道です。時間に余裕があれば、せめて下城だけでも歩きたいところだ。
19ザルツブルク城北面

(北西側稜堡を見下ろす)
宮殿への階段を登り、稜堡とザルツブルク市街の写真を・・・。
IMG_2622

(宮殿内へ・・・)
25城内へ

(井戸と大砲)
宮殿内は時間がないので、ほぼスルーしたが、途中に井戸と大砲等が・・・。井戸は、中庭に地下水槽があるので、そこから上げるものと思われる。
27井戸 27大砲

(大司教の住んでいた宮殿)
宮殿内を通り抜け、振り返って撮影。
IMG_2640

(ゲオルグ教会①)
1500年に大司教コイチャッハによりつくられた後期ゴシック様式の教会。軍人の守護聖人である聖ゲオルグに捧げられたもの。
IMG_2636

(ゲオルグ教会②)
外壁には、コイチャッハのレリーフがある。
IMG_2643

(堀底道)
教会の対面には、空堀のようなのが・・・。どうやら、堀底道になっていて、地下へ入って行くようだ。
30堀底道1 30堀底道2

(キューエンブルク稜堡①)
一旦、中庭から城壁の外側のキューエンブルク稜堡へ出た。古い稜保が崩れたので、1681年に大司教キューエンブルクによって改築された大規模な稜堡である。
IMG_2650

(キューエンブルク稜堡②)
奥の円筒形の塔は、見張り台。
IMG_2652

(キューエンブルク稜堡から東方面を)
IMG_2655

(兵器庫などを)
再度、中庭に戻った。写真は中庭の東部分で、右の建物は兵器庫で、中央やや左は荷物用のケーブルの入口。
IMG_2644

(荷物用ケーブル)
39荷物用ケーブル1 39荷物用ケーブル2

(倉庫と地下貯水槽)
中庭の中央にはラング・チステルネと呼ばれる地下貯水槽がある。中央の建物は倉庫。
IMG_2645

(南側の稜堡)
今度は、中庭から南側に築かれている稜堡へ出た。
IMG_2665

(アルプス方面の景色)
南側の稜堡から眺めるアルプス方面の景色は素晴らしい。正面に綺麗な城館を見付けた。てっきり、「サイレンス オブ ミュージック」でトラップファミリーの家として使われた「レオポルツクロン城」だと思ったが、帰国してから間違いだったと判明した w(*゚o゚*)w。実際の「レオポルツクロン城」は、その右奥の建物だった(苦笑)。あの綺麗な建物は一体何だろう???
ところで、写真奥の高い山は、「サウンド・オブ・ミュージック」のラストシーンに出てきた山で、「ウンタースベルク山(標高1853m)」というのだそうだ。映画では、この「ウンタースベルク山」を越えてスイス国境を目指すと言う話になっているが、越えた先はドイツで、実際のスイスは何百kmも先でとても歩いて行ける距離ではないようだ(苦笑)。

IMG_2667

(出城?)
右(西)の方を見ると、出城のような要塞が見える。メンヒシベルクの丘から歩いて来たら寄れるのだろうね(/。ヽ)。この稜堡の一段下はオープンカフェになっているようだ。時間に余裕があれば、是非、入りたいところだが・・・。
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(古い兵器庫と城壁)
さて、時間も迫ってきたのでケーブルカーの駅へと・・・。左側の建物は古い兵器庫。右は、大司教の住む宮殿を取り囲む城壁。
IMG_2664

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コメント

harada(2016/06/16)

20年前に行ったヨーロッパ旅行を思い出し
とても懐かしく感動しました。
コマメに画像を残しておくと、こんなにも記憶を刺激するものなんですね。
素敵な絵日記のようでした
ありがとうございます。

タクジロー(2016/06/18)

haradaさま
当サイトへのご訪問とコメント、ありがとうございます。
お褒めの言葉を戴きありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。

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