比石館(上ノ国町)

日本海に突き出した比石館跡

畠山氏の一族厚谷氏の館で道南12館の一つ、コシャマインの乱にて陥落

読み方

ひいしたて

所在地

北海道桧山郡上ノ国町石崎
【アクセス】
国道228号「石崎橋」の西約60mに薮に隠れた標柱(字は薄くなってしまっている)があり、北西へ向かう道があります。薮もすごいが、標柱の文字も薄くなってしまっていて、余程気を付けていないと見落としてしまうので気を付けて下さい。(下写真を参照下さい)
そこを入って行き50mほど進むと、右(北)に向かう車1台がやっと通れるほどの深い轍のあるダート道があるので、そこを右折して入って行くと終点が館跡です。
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形状

崖縁城(標高、比高約25m)

現状・遺構等

【現状】 館神社
【遺構等】 堀切、標柱、説明板

満足度

☆☆☆☆

訪城日

2012/07/31

歴史等

通説では、嘉吉元年(1441)年頃、この地に渡島した畠山重忠の一族ともいう厚谷将監重政により築かれたといわれる。
長禄元年(1457)年の「コシャマインの乱」で、比石館はアイヌ勢の攻撃を受けて陥落したが、乱の終結後、復興され、再び厚谷氏の居城として存続した。
その後、文明元年(1469)に厚谷氏3代重形は、勝山館主武田信広に臣属しているので、この時点で比石館は廃止されたものと思われる。
尚、比石館は「道南12館」のうち、現存する5館の1つである。また、「比石」はアイヌ語で「ヒツウシ、石多き所」を意味する。
『「日本城郭大系1」、「現地説明板」他参照』

【道南12館】
道南12館とは鎌倉時代から室町時代中期にかけて道南地方南部(渡島半島南部)に築城された諸館の総称である。道南地方に12館しか築城されなかったというわけではなく、実際はもっと多くの館があったと思われるが、学術的に存在が確認されているのが志苔館宇須岸河野館(箱館)茂別館・中野館・脇本館・穏内館(おんないたて)・覃部館(およべたて)・大館・禰保田館(ねぼたたて)・原口館・比石館花沢館の12館であることから、そのように呼称している。

【コシャマインの乱】
志濃里(志海苔、志苔)の鍛冶屋村には数百軒の家があり、康生2年(1456)の春に、オツカイというあいぬの少年が鍛冶屋に来てマキリ(小刀)を作らせたところ、出来の良し悪し、もしくは値段について意見が合わず、鍛冶屋はマキリでこの少年を突き殺した。
これをきっかけに道南のアイヌが一斉に蜂起した。長禄元年(1457)、東部のアイヌの酋長コシャマインに率いられたアイヌ勢が、まず志苔館宇須岸河野館(箱館)を攻撃し、続いて中野館、脇本館、穏内館(おんないたて)、覃部館(およべたて)、大館、祢保田館(ねぼたたて)、原口館、比石館の計10館を攻略し、「道南12館」のうち残ったのは下国氏の茂別館花沢館だけとなった。
しかし、蠣崎氏の客将であった武田信広の謀略により、その後、コシャマイン父子は殺され、その他のアイヌも多数殺害されたことで敗北を喫した。
『北海道の歴史がわかる本・桑原真人、川上淳著(亜璃西社刊)他参照』

 

現況・登城記・感想等

比石館は日本海に突き出した岬の突端の亀の頭部のような部分に築かれている。
東・北・西の三方が、高さ約25mの断崖になった天然の要害で、唯一、丘陵続きとなる亀の首に当たる部分を堀切で断ち切っている。
館の規模は東西30m×南北200mほどの小規模なものであり、平時の居館は北東部の麓にあったと伝えられる。
日本城郭大系1には、チャシ跡に築かれたものと考えられると記されているが、如何にもチャシを築くのに好まれるタイプの地形でもあり頷ける。
(2012/07/31登城して)

ギャラリー

説明板
国道228号線沿いの標柱の立っているところから車一台がやっと通れるような道を60mほど入って行くと、右(北)へ入って行く細い道がある。舗装はされてなくて、かなり深い轍があるので、曲がり角の隅に駐車して歩いて行ったら、右側に説明板が立っていたので一安心。
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比石館跡が見えてくる
さらに進んで行くと、如何にも砦跡といった地形が見えてくる。亀の頭部のようなところが比石館跡で、首のように狭くなっているところが、やや低くなっている。往時は、堀切で断ち切っていたのだろうことが容易に想像できる。
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堀切跡
亀の首の部分の側部を見ると、石垣で固められている。後に、堀切を埋めた際に築かれたものだろうか?

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館内から振り返って堀切跡を
土橋のように細い部分(堀切跡)を通って館内へ入り、振り返って見ると堀切跡の部分が低くなっているのが分かりやすい。
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館内
館内には、軍神「経津主神」を祀った「館神社」が建っている。
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